外伝〜Souvenir de voyage( たびのおもいで)


 忘れない‥‥。優しく伸ばされた手を。初めて肉親以外からかけられた、その暖かな一言一言を。忘れられない‥‥。成長した少年はあの頃と少しも変わっていなくて、少年にとってそれはごく当たり前の日常の中に忘れ去られた出来事でも。自分は言葉に表せない感情で嬉しいと思った。その嬉しさを、一時の旅の思い出を今も引き摺っているだけ。だから、決して人が言う甘い感情ではない。旅という特別な時に残してきた、『思い出』という名の感傷なのだと彼女は今日もその症状に自己診断を下す。人の言う甘い感情は大抵の場合、そういう自己診断には引っかからないものなのだ‥‥。


 白い布地に刺繍された鳥は前に一度見たそれに似ている気がした。それ故にだろうか?この既視感は。いや、もっと昔だった気がする‥‥。ずっと前に、自分はこの布を持っていた‥‥?
「‥‥メターナ・ネウユ‥‥だよな‥‥やっぱり」
自分がこの刺繍を? まさか。生まれてこの方縫い物などした事がない。では何故‥‥? 同じ問いを繰り返すが答えは出そうにない。諦めて彼は布、ハンカチを手放した。ふわっと空を舞ったそれはすぐに自分の顔の上に落ちてくる。気にせずそのまま昼寝でもしてしまおうと行儀悪く体を預けていたソファに足も乗せる。しばらくすると深い眠りの中に意識が飲み込まれていった。私室ではないその部屋に人が入ってきた事に、カイラは気付かない。
「‥‥ラ、カイラ!」
「っ‥‥?」
「日当たりが良いからと言って、お行儀が悪いですよ、カイラ。眠いのなら部屋に戻りなさい」
「‥‥うわっ!母上!?」
「丁寧にハンカチまで被って、驚いてしまうじゃ‥‥。あら? 懐かしいハンカチ‥‥。いつ返して頂いたの?」
「え‥‥? これ! 私のなんですか!?やっぱり!」
そうでなかったらどうして貴公が持っているの? と母はおっとりした仕草で笑った。遠まわしに自分のものである事を肯定する答え。それに加えて母は『返してもらった』と言う‥‥。母を逃がすまいと立ち上がって、代わりに母をソファに座らせる。そして『もう少しお話を伺っても?』と遠慮がちに問い掛けた。
「? おかしな子ね。まぁ良いわ。お座りなさい。このハンカチ、貴公のお気に入りだったでしょう? ほら、このメターナ・ネウユの刺繍、私が縫いましたのよ」
「え?母上が? あの、よく覚えていないのですが‥‥。これはいつぐらいに持っていた物なのですか?」
「?‥‥。ああ、そうでしたわ‥‥。彼女に会ったのはリルスが攫われて間もない頃でしたから‥‥。リルスの記憶と共に彼女の事も、このハンカチの事も曖昧になってしまったのでしょうね。始め貴公が欲しがっていたのはこれではないのよ? フィリーンが父君より頂いたという双頭の鷹のレリーフが入ったスカーフでした」
「あっ‥‥。はい、思い出しました‥‥。あれが欲しくて駄々をこねたんですよね‥‥。リルスが攫われた頃って言ったら‥‥五、六歳の頃ですか?」
「ええ。六歳の時です。双頭の鷹はストゥ・マイニアヌ王家のものですし、とてもあれほどの刺繍は出来ないですし‥‥。困った私はトグルの家で聞かされた、メターナ・ネウユの伝説を思い出しながらこの刺繍をしたハンカチを貴公にあげましたの」
――この鳥はね、カイラ。幸せをもたらす救いの鳥なのよ。‥‥ふふっそうね、フィリーンの双頭の鷹とどちらが偉いかしら? でも、カイラ。私は貴公には強く気高い鷹よりも、人に幸と笑みをもたらすメターナ・ネウユのようであって欲しいと願うわ――
「幸と笑みをもたらすメターナ・ネウユ‥‥。私はこれがとても気に入って、使いもせずいつもポケットに入れてましたね」
「ええ、いつもポケットにはそれと、別のハンカチを入れて絶対に使わなかったわ、あの時まで」
「あの時、ですか?」
「私が見たのは途中経過でしかありませんから、何故貴公がハンカチを彼女にあげたのかは分かりませんけど‥‥。彼女のことは良く覚えていますわ‥‥」


 遡る事半刻前、魔術によってラング・リ・ストゥ城内にあるメターナ・ネウユを奉る神殿内に現れた彼女を二人の少女が出迎えた。出会って早々に私服姿を誉められて彼女は戸惑い半分にはにかんだ笑みを浮かべた。
「お母様が‥‥遊びに参るにしてもきちんとした服装でと‥‥」
「この髪もお母様に結ってもらったの? いいなぁ♪ブランカのお母様って器用よね〜」
「あら、リルスのお母様も負けてないわ。このスカートに縫って頂いた刺繍、とっても気に入ってるのよ?」
ひらりとシアルがスカートを持ち上げると五枚の花びらの花が幾つもちりばめられた刺繍が目に入った。白地のスカートに赤やオレンジの花とその蔦の緑。『可愛い‥‥』とブランカが呟くのが耳に入ったのか『でしょう!?』とリルスが自分の事のように胸を張る。部屋に行こうと促して歩きながらもリルスは嬉しげにブランカを振り返る。
「ブランカにも何か縫ってもらおっか? 何がいい?」
「え‥‥? でもご迷惑ですし‥‥」
「ブランカ、そこは遠慮する所じゃないわよ? まぁ自分で縫ってあげるって言えない所が哀しいけどね‥‥。せめて縫い物くらいは出来ようになりたい‥‥」
「うんうん、刺繍なんて気力が持たないようね〜。ブランカも一緒に縫い物習わない?」
「え?‥‥あ、はぁ‥‥」
「なぁんか歯切れ悪いなぁ。実はもう何でも来いっ! ぐらいにできるとか!」
びしっとシアルに指を突き付けられてブランカは一瞬きょとん、とした表情を見せる。戦闘やそれに伴う反応は達人と言ってもいいくらいなのに、人とのコミュニケーションとなると鈍いというか抜けが目立つ。まぁシアルはそこが可愛いと思うし、リルスとは同ペースなのでなんら問題はない。
「いえ、さすがにそれは‥‥。ただどのくらいの程度なのかと‥‥。繕い物くらいなら出来ます。というか宮廷魔術師(テンプルソーサラー)になる修行中に自分の事は自分でと教えられてきたので。修行の最中に服が破れるのは日常の事なので」
「‥‥もしかしてジェヴルさんもできるとか?」
「はい、長から習いましたので。宮廷魔術師(テンプルソーサラー)の男性は皆出来ます」
「それはさすがに屈辱だわ‥‥。私達男性以下よ?リルス」
「あ、そんな‥‥。本当に繕い物程度なんです。ドレスとはいかなくても、簡単な普段着くらい縫えたら素敵ですよね」
「それいい! 三人でお揃いの作ろうよ! ね?シアル、ブランカ」
リルスが手を叩いてはしゃぐとシアルが『リルス名案!』と駄目押し。数に含まれたブランカはおろおろしているがいいでしょ? と念を押されて頑張ります、と小さく頷く。自の強い二人、特にリルスにブランカが引っ張られている関係だが友人、特に同性とのコミュニケーションが極端に少なく育ったブランカは少し引っ張るくらいでちょうどいいのだと思う。けれどブランカ自身の意思を崩す事がないようにシアルはそっと気を使ってやる。そしてリルスは度が過ぎないように押さえて‥‥と気分はすっかり二人の姉だ。
「じゃあ、リルスの部屋に行く前にお母様のお部屋に行ってお願いしてみよ! 今日はリルスの部屋を見せる約束だから今度からね♪」
「ブランカ、次の休みの予定はいつ?」
「一応来週初めです。お兄様に何のご予定もないので。ただどうなるかは分かりませんけど。原則は週一で休みがありますが交代したり返上したりとかあって不定期で‥‥」
「大丈夫よ〜ブランカは。リルスとシアルは一から教わらなきゃいけないもの。そうそう追い越せないわ」
「まぁ、にぎやかね。リルス、前を向いて歩かないと危ないですよ」
「!」
声をかけられてリルスは振り返るが廊下の向かいから歩いてきた女性の手に肩を支えられる。ブランカが反射的に足を揃えて深々と礼をし、シアルも軽く会釈した。長い、カイラの物に似た金髪を結い上げて一つにまとめ、カイラとリルスに似た温和な笑みを浮かべた女性。双子の母であるラング王妃その人だ。
「お母様! お部屋に行こうと思ってたの! 三人で縫い物習いたいなと思って! そうだ! ブランカにも何か縫ってあげて! 良いでしょう?」
「私のスカートの刺繍、可愛いって誉めてくれたんですよ。あ、この子がブランカ」
「トグリッサ王家付宮廷魔術師(テンプルソーサラー)、ブランカ=ダウドです。お見知りおきを、ラング王妃殿下」
「あら‥‥。そう、リルス達の言っていたお友達‥‥貴女の事だったのね。お母様のお若い頃に生き写しだわ。お元気になさっているかしら? よろしくお伝え願える?」
「あ、はいもちろんです。あの、失礼ですが私の事‥‥?」
ブランカの問いかけの視線にラング王妃はにこりと笑って一つ頷いた。その笑みにかブランカはかぁ、と頬を赤くして「ありがとうございます」と頭を下げる。なに? とシアルとリルスが首を傾げたのを知ってか知らずかラング王妃はブランカに歩み寄った。
「お近付きの印に何か縫わせていただけないかしら」
「でも‥‥」
「趣味なのよ、気になさらないで。どんな模様がいいかしら‥‥。その前に何に縫うかを決めなくてはね」
「あ‥‥あの、何でも良いです。お手間にならない小さい物で‥‥。模様は‥‥わがままを承知でメターナ・ネウユなどお願いできますでしょうか‥‥」
「メターナ・ネウユ‥‥。ふふっ分かったわ。リルス、縫い物を習う話は良く分からなかったから後で詳しく聞かせて頂戴。今日は三人で遊ぶ約束でしょう? ゆっくりしていってね、ブランカさん」
ありがとうございます、とブランカが頭を下げるとラング王妃は身を翻して物静かに廊下を歩いて行く。リルスが再びこっちよ! と案内し始めたのでブランカとシアルは慌ててリルスを追いかけた。ラング・リ・ストゥは一階建ての宮殿作りなので案内されたリルスの部屋も一階だ。リルスは部屋の中でテーブルセットをしていた侍女にお茶を頼むとさっさと椅子に陣取り、二人を急かす。
「失礼します‥‥。可愛らしい部屋ですね‥‥」
「でしょ!? ほとんどはリルスがいなくなった当時のままなんだって。まぁでも色々いじったけどね。ブランカの部屋も見てみたいな♪」
「見るほどもない、つまらない部屋ですよ」
「またまた〜そんな謙遜しちゃって♪ブランカ」
「いえ、屋敷の私室は本当に。家具のほかに魔法・魔術書の本棚が置いてあるだけの部屋です。城の私室はお兄様が勝手に色々置いていくのでよく分からない部屋になってますが」
ベッドとぎっしりと本の詰まった本棚があるだけの殺風景な部屋がすぐに浮かぶ辺り哀しい。そして城の方は色々飾り立てたベッドにこれ見よがしに可愛いドレスやら女の子が好きそうな雑多な物達が溢れている、ソール作のある意味とんでもない部屋だろう。ブランカの表情から察するにあながち想像だけではなさそうだ。そこへ侍女がお茶とケーキを運んできてくれる。話題はそちらへと移り、一瞬冷めた空気はすぐに温度を取り戻した。
「では、御用の時はお呼びください、リルス様。失礼します」
「うん、ありがと」
「こんな風に人に何でもやってもらうと‥‥緊張しますね」
「うんうん、分かる〜。私も居候の身なのに侍女までつけてもらっちゃって‥‥。そんな事自分でできるから!ってよく思っちゃうのよね‥‥」
「そう? リルスへーき」
それは根っからの王女様だからよ‥‥とシアルはリルスの肩を叩いた。私達庶民だもんね? と振られてブランカは失笑したが、その表情は少し複雑だ。けれど複雑の理由は明かさずにケーキを口に運ぶ。
「‥‥おいしい‥‥」
「ブランカあんまり甘いの好きじゃなさそうだからちょっと甘さ控えめにしてもらったの♪。大丈夫?」
「あ、はい、ありがとうございます。私結構甘い物で平気ですが‥‥。普段は食べないのですけど」
「じゃあ今度は料理長に特別甘いの作ってもらわなきゃね! あ、そうだ‥‥。ねぇブランカってさ‥‥王妃様と知り合い?」
突然話題が飛んでブランカはケーキにむせ返り、慌ててミアーシのお茶で流し込んだ。ごめんごめん、と謝りながらシアルはその背中を擦ってやる。
「知り合いというか‥‥はい、以前一度お会いしています。もうかなり昔の事ですし、宮廷魔術師(テンプルソーサラー)にもなっていなかったのでお忘れかと思って‥‥。覚えていてくださったようですが」
「そうなんだ? お母様は知ってるみたいなのにブランカは初めて会うみたいに挨拶するからちょっと変だな? ってリルスも思ったの。宮廷魔術師(テンプルソーサラー)としては初めてだったって事ね?」
「‥‥ブランカがカイラに渡したハンカチもメターナ・ネウユの刺繍がしてあったよね〜。何か関係あるの?」
にこっと笑いかけるシアルの笑みには意地悪が半分以上詰まっている。残りは好奇心だ。面白いくらいにブランカが赤面し、どうしたの? とリルスに心配された。いえ、と慌てて顔を逸らす様がいじらしいくらいに可愛い。
「あ、あのハンカチ‥‥ご覧になったのですか? あの、あれはお返しするハンカチを間違えて‥‥。そ、そうだ今日は持って来たのでお渡し頂けますか‥‥?」
「あ、じゃあカイラ呼んで来てあげる〜。ちょっと待って」
「えっ!? 今日はお出かけでは‥‥」
「その予定だったんだけどフィリーンがことごとくお父様のご公務の手伝い逃げるから不意打ちでフィリーンを無理矢理連れてったの。だから多分部屋にいるよ」
「ちょっ‥‥待ってください!リルス王女!」
「心の準備が出来てなのよね〜?ブランカ」
真っ赤になってわたわたと言い訳の言葉を返そうとするが言葉が出てこない。ソールが可愛がるのも分かる気がする、とシアルはまだ意地悪半分で笑ったままだ。
「やーっぱりカイラの事好きなんだ♪ブランカ♪」
「ちっ違います! そ、そんな感情は‥‥。私はただ‥‥」
「ただ何?」
「‥‥」
――嬉しかっただけ‥‥。お兄様以外の、見知らぬ男の子に優しくしてもらって‥‥。でも、それは言えない‥‥。
「‥‥昔王妃様に会ったのって、この城でしょ? その時にカイラとも会った?」
「! ‥‥いえ‥‥」
「もう! 隠してるのばればれだよ?ブランカ。知りたいなぁ、どう違うのか。さもないと‥‥リルス♪」
「なに? やっぱりカイラ呼んでくるの?」
「シアル様っ! わ、分かりました‥‥。でもこの事はくれぐれも内密にお願いします‥‥」
「大丈夫♪特にカイラには、でしょ?」
十年前、奇しくもこの城を訪れたのは十年前のちょうどこの時期だった――


 雪に閉ざされたトグルでは考えられない程ラング・リ・ストゥの城は温かかった。春間近の雨上がりの城に着いた時にはもう夕刻になっていた。宮廷魔術師(テンプルソーサラー)見習仲間の数人の従兄達、そして兄の護衛を務める父、従兄の父親達に混じってブランカも初めての長旅を終えた。いや、見習仲間達とは少し違っていた。皆小さいなりに魔術師の服を着ているがブランカは兄が用意していたドレスとも呼べるスカート姿だ。それをちらりと見やって父である宮廷魔術師(テンプルソーサラー)長、ジェヴルは兄に渋い顔を向けた。
「良いですか、殿下、仕方なくブランカには私服を許しましたが絶っ対にパーティ会場に連れて行く事は許しませんよ!」
「分かってる、道中聞き飽きた。だから、俺はどうせブランカも連れて行くなら、可愛い格好の方が長旅も楽しいと思っただけだっての」
「まったく‥‥本当に分かっておられるのか‥‥」
「兄上、そうかっかなされますな。お前達は此処までだ。ご挨拶が終わったら‥‥。誰が戻りましょうか、兄上。私かグリーグが適任でしょうね?」
「グリーグ、戻って子供達の面倒を。ジルオン達は私と殿下にお付きする」
「分かりました、兄上。戻ったら町まで出て夕飯にしよう。お前達、お兄さんなんだからブランカを苛めるんじゃないぞ? 苛めた者は夕飯抜きで♪」
家に帰ってからさらにお仕置きだ! とジルオン、ブランカの叔父に当たる宮廷魔術師(テンプルソーサラー)が付け加える。ジルオンとグリーグはジェヴルの弟、ブランカの叔父だ。そして従兄達の父でもある。
「後でな♪ランカ」
「いってらっしゃい、お兄様」
見送るブランカに兄、ソールはいつものように額にキスする。相変わらず羨ましいですね♪と茶化すグリーグにも父にも、ソールが囁いた声は聞こえなかっただろう。「また後でな♪」と悪戯心たっぷりのその声は、出かける前に聞いたこの国に住む兄の友人とその『弟』を連れて来る計画を実行に移す気満々だった。
――確かにブランカはパーティ会場に入らないんだけど‥‥やっぱりお父様に怒られるんじゃないかしら?お兄様‥‥――
「あーあ、つまんねぇ!」
一気に緊張をほぐした従兄達が一塊になってそんな愚痴をこぼし始める。一番近くても二歳は年上の従兄達がブランカは怖かった。初めて会った時の印象も良くなかったからだろうが‥‥。とにかくその一団から少し離れ、城の外庭の中をざっと見回すとブランカはぬかるみを避けて近くの木に寄りかかった。白い布地を多く使った服は気を遣う‥‥。
「どうせなら中まで入りたかったよなぁ。王子とかだったら俺達よりずっと小さい頃から入れるのにさ」
「俺達よりちっこいくせにちゃっかり付いて来てる奴もいるしな」
「!」
「あの殿下がかーわいい妹をパーティに連れてかないわけないよなぁ。不義の子供のくせに、兄が王子だと得だよな?ブランカ」
「兄上、ブランカ苛めたら夕食抜きって父上が‥‥」
ふんっと不満げに従兄が鼻を鳴らしたのでブランカはほっと溜息をついた。気の弱いブランカは出生の理由と、それでも兄に可愛がられているせいで従兄達によく苛められていた。長である父は従兄達とブランカの両方を諌めるが、叔父達は姪であるブランカを良く庇ってくれるのでそれが余計に反感を買うらしい。けれどブランカは薄々感じていた。叔父達がブランカを庇うのは姪だからではない。それもあるだろうが大半は‥‥見殺しにしようとした後ろめたさ故にだろう‥‥。
「大丈夫、ブランカが勝手に転んだんだよ。なっ!?」
「や‥‥っ!!」
逃げるブランカを追いかけて従兄の一人が強く背中を叩いた。それとぬかるみに足をとられたせいでブランカは泥の中に転倒する。わぁーっと従兄達の笑い声が上がったが、それよりもせっかく兄が着せてくれた服が泥だらけになってしまったことにブランカは泣き出した。
「そうだ! いい事考えたぜ! ブランカのこの氷色の髪、泥付けてやったらきっと金色に見えるぜ!」
「やだ! やめて!」
「暴れるんじゃねぇよ! 父上と同じ色にしてやるって言ってるんだろ!」
それでも嫌だとブランカは泣きながら訴えるが二人がブランカを両方から押さえ、三人が冷たい泥を手に取ってブランカの髪に擦り付ける。泥の不快感と無事だった背面まで汚されてブランカはさらに泣きじゃくった。早く叔父が帰ってくれればいいのに。いや、賢い従兄弟達の事だ、その前に叔父に分からぬようさらに手を打つに決まっている。
「君達、何をしてるの?」
「っ! ‥‥なんだ、びっくりさせるなよ。お前には関係ないだろ。向こう行ってな」
「‥‥! 男五人で女の子一人を苛めて、恥ずかしいと思わないのか? 今すぐやめるんだ!」
りんとした声で言い放ったのはブランカとそう年の変わらない少年だ。金髪にスカイブルーの瞳。上質の正装から察するに、パーティに参加している貴族の子息だろう。
「お前には関係ないっていってるだろ! さっさとパーティに戻りな!ぼっちゃん!」
「リルアーヌ様!どちらに!? もうすぐパーティが‥‥」
「! 今行く! 待ってて!マギー。さぁ、早くその子を離してあげるんだ」
「生意気なガキだなっ!」
「待て! まずいよ‥‥そいつこの国の王子だ。リルアーヌ王子だよ! 殿下とも仲いいはずだ!」
「殿下‥‥? もしかして君達はトグルの‥‥」
リルアーヌ様! と呼ぶ女性の声が近付いてくる。やばいよ! と諭されて少年達はブランカを置いて走り去っていく。泣き続けているブランカは助けてもらったのが嬉しかったが、反面恥ずかしくて必死に泣き止もうと涙を拭う。
「大丈夫、泣かないでいいよ」
「ごめんなさい‥‥」
「謝らなくていいって。怖かったんだよね? そうだ、君の名前は? 僕はカイラだよ」
「っく‥‥ブランカ‥‥」
「ランカ? ランカ、もう泣かないで。そうだ、これ、君にあげるよ」
ブランカの声が小さ過ぎたせいか少年はブランカの名を兄の付けた愛称と勘違いしたようだった。訂正しようかどうしようか迷っていると少年は白いハンカチを取り出してブランカに差し出した。白地に、よく見ると綺麗な鳥の刺繍が入っている。
「ううんっ! ハンカチ、持ってる。‥‥多分」
「いいから。この鳥はメターナ・ネウユなんだ。幸と笑みをもたらしてくれる、神様の鳥だよ。僕はいつも今日みたいに君を助けてあげる事は出来ないけど、君が幸せに笑ってくれるように。はい」
「あ‥‥あの‥‥あ‥‥」
「リルアーヌ様! まぁ‥‥どうなさいましたの?」
「マーガレット、カイラは‥‥。あら、どうしたの?カイラ」
「この子、洗ってあげて、マギー。あの、転んじゃったんだって! それで泣いてて。いいでしょ?母上」
はぁ、と侍女は呟いて王妃の方を見る。どう見ても転んだようには見えないが、少年はブランカを庇って嘘をついたのだろう。
「そうしてあげて、マーガレット。私の部屋に服があるわ。カイラ、お父様とフィリーンがお待ちよ。私達も早く行かなければ‥‥」
「はい。またね!ランカ!」
「あ‥‥う、うん」
結局ありがとうは言えなかった。少年はパーティに向かい、自分は決して行く事は出来ないのだから。多分『またね』はないだろう‥‥。


 母の語るわずかな記憶が呼び水となってカイラは自分が助けた少女の姿を思い出した。そして彼女に大事なハンカチをあげた理由も‥‥。
「‥‥そうだ、私が彼女にあげたんだ。母上が望んだように、そのハンカチを渡す事で彼女に笑ってもらえたらと思って‥‥。!! え!? あ、あの母上!? 私が彼女をランカと呼んでたんですか!?」
「ええ? ランカか、それともブランカだったか分からないけれど、確かにそう呼んでいましたよ。それにしても、本当にお母様似の綺麗なお嬢さんに成長されて‥‥。先ほどお会いした時も一目で分かったわ」
「え?え?‥‥。彼女、金髪だったように思うんですけど? それに‥‥彼女ずっと泣いていて、私は彼女の顔は見てないです」
「私はあの後マーガレットに呼ばれて部屋に行きましたから。ソール王子やジェヴル殿にもお会いしましたわね。けれどカイラ? そのハンカチは今日彼女にお返し頂いたのではないの?」
「た、確かにランカに返してもらった物ですけど‥‥」
――あの時の少女がランカだって‥‥? 泥で金髪に見えたのか‥‥。!? じゃあ彼女があの時覚えてるのかって‥‥つまりそういう事!?――
「うわ〜、どうしよう。怒らせたかな‥‥」
「? 何か怒らせるような事をしたの?カイラ」
「あ、いえあの‥‥。‥‥? 母上、今日って、どういう事ですか?」
「シアルかリルスから聞いていなかった? 今日シアルとリルスの所に遊びにいらっしゃったようですよ。一緒に歩いてらした所でお会いしましたけど? 今はリルスの部屋にいらっしゃるのじゃないかしら」
「ありがとうございました!母上!」
「カイラ? 珍しく落ち着かないこと。‥‥ふふっとうとうあの子もそういう時期かしら。良いわね、リルスもシアルもいずれ嫁いでしまうでしょうから、ブランカさんのような可愛らしいお嬢さんにお嫁に来て頂きたいわ。‥‥あの子の気の弱さじゃ無理かしら、やっぱり」
母が自分の将来を勝手に想像して微笑したり溜息をついていようなどとは、飛び出していったカイラは思いもしなかっただろう‥‥。


 王子の侍女であるマーガレットはブランカに部屋に残るように言い、慌しく出て行った。ブランカは借りたワンピースに身を包み、頭を拭く布を被ったままソファで少しぼーっとしていた。入れてもらった風呂が少し熱すぎた。それに、トグルからの長い馬車旅は幼いブランカの体にかなりの負担をかけていた。
「こちらに!王妃様」
「そんなに急かさなくても‥‥。あら、可愛らしい。ちょうどいいわ、どうせ捨ててしまう所だったの。着て帰ってちょうだいな」
「あ、どうもありがとう‥‥。どうして、捨てちゃうの?」
「‥‥この服を着ていた子が、もういないからなのよ」
「それより王妃様! 見てください!」
大慌ててマーガレットはブランカの頭の布を取る。肩を越した生乾きの銀髪にブランカの顔が露になってまぁ、と王妃もわずかながらに驚きの表情を浮かべた。きょとん、と王妃を見上げるブランカは驚きの理由がまるで分かっていない。
「まぁまぁ、これは大変だわ。マーガレット、ソール王子をお連れして」
「お兄様?」
「は、はい! 失礼致します、王妃様」
「やっぱり、ソール王子の妹君なのね。お母上にそっくりだわ」
「‥‥ブランカのお母様を知ってるの?」
首を傾げて見上げるブランカに笑いかけながら王妃はええ、と頷いた。そしてブランカの隣に腰掛け、その頭を撫でる。自分の母に似たものを感じてブランカは安心したように目を細めた。
「昔、とても憧れていた方よ。今は、それぞれ子供の頃夢見た場所からは遠い所にいて、互いに会う事も自由にできないけれど。それでも、大切なお友達だわ」
「お母様の、お友達‥‥」
「あら‥‥? そのハンカチはカイラの‥‥」
「! あのね、ブランカが泣いてたから、カイラ‥‥王子がくれたの。幸せにしてくれる鳥さんなんだって。だから、だからブランカお礼が言いたかったんだけど‥‥行っちゃった」
きゅっと両の手に握ったハンカチを口元に当てるブランカの表情は嬉しさ半分、けれど礼が言えなかった事への後悔が半分‥‥。王妃は意外そうにそのハンカチを見つめたままだったが、不意に微笑してまた頭を撫でた。
「そう、カイラには私から伝えておくわ」
「本当っ!? すごく嬉しかったの! だから、だからどうもありがとうって」
「ええ、分かったわ」
「失礼致します! ラング王妃」
「ソール王子、どうぞお入りになって」
兄の声にブランカがぴょこり、と嬉しげに頭を上げた。そんなブランカをソファから下ろしてやるとソールが部屋の中に入って来て駆け寄るブランカを抱き上げる。
「ブランカ! 一体どうしたんだ!?」
「殿下‥‥。ご迷惑おかけ致しました、ラング王妃殿下」
「良いのですよ、ジェヴル殿。こんな所で、ゆっくりと再会できるなんて意外でしたわね。ジルオン殿、グリーグ殿にもお変わりなく」
「恐れ入ります」
「幼少の頃よりお変わりなく、お美しくいらっしゃいますね♪王妃様」
「何だ‥‥お前達そんな昔から王妃をご存知だったのか‥‥? それよりランカ、どうしたんだ? 泥まみれになってたなんて」
まさかまたうちの息子達に?‥‥とジルオンが顔をしかめて尋ねるとブランカは反射的にふるふると首を左右に振った。『隠さなくてもいいんだよ、ブランカ』とグリーグが柔らかく尋ねてもまた首を左右に振る。
「ランカ! あいつらに苛められたのか!? 今度と言う今度は‥‥」
「違うの! 転んだの! それでお洋服汚しちゃって‥‥。ごめんなさい!お兄様‥‥。だからグリーグ叔父様もみんなのご飯抜いたりしないでね!?」
「しかし‥‥ブランカ」
「やめなさい、ジルオン。ブランカが転んだと言っているのだからそうなのだろう。子供達が待ちくたびれているはずだ、早く町に連れて行ってやってくれ、グリーグ」
「‥‥はい、兄上。失礼致します、王妃様」
「ラング王妃殿下、申し訳ありませんがこの子の事は‥‥」
「分かっております。決して口外致しませんし、させませんわ。それよりもお泊りの部屋に連れて行ってあげたほうがよろしいわ。長旅で疲れている様子ですし、食事は後で運ばせますわね」
お気遣いありがとうございます、とソールが頭を下げるといえ、と王妃は笑う。そして兄の腕の中で少しとろんとしているブランカの頭を撫で『また出来たらお会いしましょうね』と声をかけた。ブランカはうん、とだけ短く頷いた。
「殿下、ブランカは私が。尊公はパーティにお戻りください」
「ええー?」
「ええじゃありません。本日は父君、母君の名代でいらっしゃるのですよ。ジルオン、殿下を。では失礼させて頂きます」
「ジェヴル殿」
「はい?」
「王妃様に、よろしくお伝えくださいな」
王妃の微笑に少し戸惑ったように父が間を空けて返事をするのを不思議そうにブランかは見上げていた。父の腕に抱えられた行った部屋で、二人だけで夕食を取った後の事は記憶にない。起きた時にはもう、ラング・リ・ストゥを去る馬車の中だった。


 ――「結局お礼を言いたくても言えなくて、やっと再会出来た時にはもう十年も経っていて‥‥。カイラ王子は遠い昔に一度だけ会った私の事など忘れていました。でも、あの時の分も込めて御礼が言えて、あのハンカチもお返しできてやっと‥‥」
最後の言葉はいいかけて飲み込む。やっと‥‥なんと言いたかったのだろう、自分は。ずっと抱えていたこの思いはなんだろう。お礼は言えたのに、人に話す事で隠し続ける罪悪感も恥ずかしさも薄れたのに。なのにこの胸の中に残る感情はなんだろう‥‥。
「ずばりっ!『恋』だわ!」
「はっ!?‥‥」
「素敵♪ブランカ! つまりカイラがブランカの初恋だったのね! 十年もずーっと思い続けてるなんて♪。リルスも負けない!」
「だから違います! そんな感情は‥‥。そんな感情じゃ‥‥ないです‥‥」
「『嬉しい』と『好き』は良く似てるよ、ブランカ。だから『嬉しい』思い出は『好き』になりやすい。恋は駄目だからこの感情は違うとか、そんな事気にしちゃいけないよ。十年も忘れなかったのは、十年も『嬉しかった』のはカイラの事、ううん、その時助けてくれた男の子が好きになったからでしょ? 好きになる事は駄目なんて誰も言わない。心の中でそっと『好き』でいる分にはいいじゃない?」
「そんな事‥‥突然言われても‥‥」
――どうしたら良いのか分からない。ずっと押し殺して、ごまかしてきた感情が急にそれだと言われても。もう『好き』に変化してしまった感情をどうしたらいいのか――
「ダメよ! シアルもブランカも! そんな消極的じゃ女の子は幸せになれないの! 好きなら好きって待ってないで言わなきゃ! 結婚の約束さえさせちゃえばこっちのものよ!」
「‥‥なんだかパワフルね‥‥リルスちゃん‥‥。フィリーンは嫌いになったんじゃないの?」
「いいの! 好きなのは好きなんだもん! リルス諦めない! だからブランカもカイラに‥‥」
「リルス! ごめん入るよ!」
「きゃあ!?」
悲鳴をあげたのはブランカ。リルスとシアルに振り返られてブランカは慌てて口をふさぐ。ご、ごめんなさい‥‥と小声で謝っている間に入ってきたカイラが『きゃあって‥‥』とでも言いたげに見ている。
「カイラ、どうしたの急に? そんなに急いでめずらしー」
「あ、ごめん。実はランカにこのハンカチを‥‥」
「っ!! いやー!!」
「返そう‥‥って‥‥。‥‥。叫んで転移魔術で逃げられるほど私はひどい事をした覚えはないんだけど‥‥」
半分出しかけた手は渡すべき相手を失って空で止められた。呆然と立ち尽くすカイラにかシアルとリルスがぷっと吹きだし、大声で笑い始める。そんなに笑わなくても‥‥とカイラは所在のなくなったハンカチを恥ずかしそうに再び懐にしまった。

神星外伝〜Souvenir de voyage(旅の思い出)
                       おわり

あとがき
 びばっ!カイラ×ブランカってことで気になるカイラとブランカの初めての出会い編でした〜(爆笑)一方的にブランカが覚えてただけじゃんっ!とか突っ込まないように。それがいいんじゃー!!(笑)最後までいって結婚させちゃおうかとも思ってるんですが、このカップルはそこまで行かせずにご想像にお任せ範囲‥‥。ちょっち寂しい。
<いろんな裏設定及び裏ネタ>
 本編では影も形もない、ジェヴルの弟達がいます(笑)ほんとは本編ラスト近くの宮廷魔術師(テンプルソーサラー)の中にちゃんといました(影ながら)ジェヴルが長男兼家長で次男がジルオン、末っ子がグリーグです。このシリーズもとい一家はブランカが最初に名前が決まってたので『色』に関係する名前にしてみました。ジェヴルは最初シアンにしようかと思ってたんですが、ひねりがないのでマジェ(ゼ)ンダ+ブルー≒ジェヴルです(どうやって変換したんだよ‥‥)ブルーのブはかっこよくするためにヴに変えたの。ジルオンはオレンジ≒ジルオン、グリーグはグリーン≒グリーグ(←一番言われて納得かな?)ジェヴルとジルオンが年近くて、グリーグが少し離れてる感じ。だからジルオンは割としっかり系だけどグリーグは天然系(笑)でも子供はジェヴルが一番年下(笑)一応ジルオンとグリーグはブランカに負い目を感じてる、みたいな表現してるけどグリーグは天然系なのですっかり気にしなくなって最近は本気で姪可愛がりに徹しているらしい(笑)
「兄上〜♪うちの長男を養子にやりますからブランカと交換しましょうよ♪♪」(もちろん大却下です(笑))
 ダウド三兄弟とラング王妃の関係。実は幼なじみです(笑)詳しく言うとトグリッサ王妃とジェヴルが許婚で(トグリッサ王妃も元はダウド家の人間)トグリッサ王妃とラング王妃(は普通に貴族の子女)がお友達で三人同い年。ジルオンとグリーグはジェヴルと一緒にいたからラング王妃も知ってるわけ(特にグリーグは小さかったから綺麗なお姉さんという記憶が強いらしい)ああまったくややこしいさねっ(笑)
 ナゾのブランカのお部屋。屋敷の方じゃなくて城の方。本来はソールがブランカが泊まれるように♪と用意した部屋で宮廷魔術師(テンプルソーサラー)の皆が持ってるわけじゃありません。実際着替えの際(しかも特殊任務の時だけであとは家から軍服)に使用するだけでほとんど使ってません(笑)気になるソール陛下の置き土産とは‥‥なんでしょう?陛下。
「第一にドレス、入って来た時にすぐ目に付くように大体ベッドの上に広げておく!」
でも無視されるんでしょ?
「大体惨敗だ‥‥(泣)でも気に入ったのがあると俺の所に来て『もらっていいですか?』て聞いてくるんだ♪。それがまた可愛い♪(←悦)第二にぬいぐるみ。これも1個だけ家にお持ち帰りしただけで惨敗‥‥」
ちなみにどんなぬいぐるみですかぁ?
「ライオンだ♪。可愛いやつだったぞ♪。この前部屋に行った時にベッドの傍らに置いてあった(喜♪)第三にいろいろ化粧道具。これがまた‥‥」
手付けてくれないんでしょ?
「言うてくれるなっ!!(←全敗)もちろんそのままで十分可愛いがもっとこう大人の女性になった姿を見てみたいというのが兄心というものっ!」
いや、それは間違ってると思いますけどね〜? いじょ、ソール陛下に直インタビューでした♪♪。
 最後にこの話の題名、Souvenir de voyage(たびのおもいで)はえあの好きな画家さんの絵から頂きました♪。この題名の絵は数種類あるんですけど、ん〜やっぱりトグリッサ王家の家紋でらいおんちゃんいるのかなぁ。それとも女の子だから林檎ちゃんかなぁ(謎)ちなみに画家さんの名前はルネ=マグリット、ベルギーの画家さんです♪。

 参考までに旅の思い出神星イメージと思われる作品を覗いて見られる?(何処が旅の思い出じゃあ!! と声を大にして叫ぶようにっ!)

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