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「なに〜!?ナイトが負けるなんて〜そんなこと計算上ありえないのだ!!」
「もはや言ってろって感じ?。さ、闇野君、まゆら行くよ‥‥!?」
「!」
振り返ったロキは異変に気付いて立ち尽くす。闇野はロキよりも冷静に透けていく自分の手を見つめていた。そしてロキに向き直り、にっこりと笑みを浮かべる。
「私は此処で待っていろという事ですね。お行きください、ロキ様」
「闇野君‥‥。迎えに、来るからね?」
「はい、待っております、ロキ様。‥‥尊公のいない海を思えば、このくらい‥‥」
次の部屋に行く手前で声が途切れる。繭良が後ろに不思議そうな目を向けているのが分かったが気に止めずロキは次の部屋に足を踏み入れた。
「一刻も早く先に進まないとな‥‥。次は白のクィーンか?」
「そう急く事は無いんではなくて?キング」
「!」
不意に伸びてきた手が怪しげに首に絡みつく。白い腕を辿ると豊かな金色の髪が露出した肩に、ワインレッドのカクテルドレスがかかっている。その中には小さく整った、覚えのある顔。逃げ出そうと周りを見回すとそこは女王の部屋、と呼ぶにふさわしい豪華な一室。
「な、なんじゃこりゃー!!」
「お子ちゃまは置いといて」
「や〜ん!」
ひょいっと抱えていた繭良が取り上げられ、ぽいっと床に放り出される。助けようと手を伸ばそうとするが頬を覆った手にぐいっと顔を移動させられた。
「さっ大人の時間に入りましょ♪キング‥‥」
「ちょっ、待った!フレイヤ‥‥じゃなくて赤のクィーン!。ボクらは敵同士なんだぞ!。それに此処は白のクィーンがいるんじゃ‥‥」
「白のクィーンなんていないわ。尊公は私にチェックされちゃったわけ。これでチェックメイトよ」
すっと目を閉じ、赤のクィーンは頬の手をロキの頭に回し、自分へと近付ける。これはもしかしてものすごくまずいんじゃ‥‥と思いつつもロキは抵抗という言葉を失念していた。と、だめー!!と繭良の叫び声がしたかと思うとどん!と軽い衝撃。
「!」
「なにするの!。お子ちゃまはあっちで遊んでなさい!」
「やー!」
「!。‥‥レディ、チェックもいいが、それじゃ近付きすぎなんじゃないかな?。今度はボクの番だよ。これで本当に、チェックメイトだ」
逆にクィーンの顎を手に取ってロキはその唇を奪った。素直にも赤くなるクィーンの頬を見ながら「これも逆か‥‥?」と思ってしまうのは、フレイヤに失礼だろうか?。唇と手を離すとクィーンは何か口をパクパクとさせていたが闇野同様、すっと姿を消してしまった。
「やれやれ、何とかかわしたか。けどこれってボクが取った事になっちゃうのか。残るはまゆらのポーン一つ。弱ったな‥‥。まぁ後で考えよう。行くよ、まゆら。まゆら?」
「やー!」
「なに膨れてるのさ、行くよ」
「やーったらやー!」
「しょうがないな、ほら」
逃げる繭良をひょいっと先程のように抱えあげるが目が合うとぺちっと頬を殴られてしまった。何?と視線を向けるがぷいっと顔を逸らす。
「?、?。まゆら?どうしたの?」
「なんでもないにょ!」
「なんでもない顔じゃないだろ?。まぁいいや、次で終わりだからな」
次の部屋への入り口を見つけ、ロキは少し腰をかがめながら穴をくぐった。周りはまたも草原。いや、丘だろうか?。此処がdの6なのか?。
「ほう、えろう早いお着きやな。どや?なかなか楽しかったやろ?」
「何処が!。さっさと元の世界に戻してもらうよ!」
「ポーンごときでキングに勝てるん思とるんか?。かかってきーや!」
<VS 赤のキング!>
「!。まゆら!今度は遠慮なく行っていいよ!!」
「はっはっはっ!そんなガキ一匹何や言うねん!」
「まゆりゃガキじゃないの!うさちゃん!」
「ねぇ、赤のキング、此処は確かdの6だよね?」
「そや?それが何か‥‥!!」
「相手の陣の端まで来たポーンはクラスチェンジでクィーンになれるんだよ!。これでチェックメイトだ!」
「んなあほな〜!!」
「これで元に戻れるな!」
‥‥。
‥‥。
「怖い!」
「え?‥‥」
「怖いにょ!早く下ろして!」
声の主を探ると声の主は妙に薄くて高い塀の上に座り、半泣きで彼に手を伸ばしている。そしてその隣には卵の化け物‥‥もとい、ハンプティ・ダンプティの姿が。
――待っております、ロキ様――
そうだ、闇野君はボクを待っているのに‥‥。
――道は在りと信ずれば掻き消え、無きと身を返せば開かれる。
上る階段は降り、降る階段は昇る。道を進めど道を信じる事無かれ――
上る階段は降り、続くと信じた道は‥‥。そうか、そういうわけか‥‥。
「降りといで、まゆら」
「やー‥‥まゆりゃ怖い‥‥」
「怖くなんてないだろ、此処は君の作り出した世界なんだから」
「‥‥」
「鏡の国のアリスなら白のクィーンはいなくちゃいけないんだ。アリスがクィーンになって白のクィーンと赤のクィーン、三人のクィーンになるんだから。でもボクの王妃は一人じゃなきゃいけない。アリス一人でなきゃ、ね。違うかい?」
足をばたばたさせるだけで繭良は何も答えない。けれど構わずロキは腕を伸ばした。
「さて、言う事を聞かない悪い女王様は揺さぶって仔猫にしなきゃいけないんだっけ?。そうすればアリスは目が覚めて鏡の国は終わり」
「だめ!。行っちゃだめ〜!まゆりゃとずっと一緒にいて‥‥。いいでしょ?。ずっと鏡の国でお兄ちゃんはキングでまゆりゃはクィーンなにょ!」
「いけない子だね、アリス」
繭良の腰に手をかけ、優しく持ち上げて少し左右に揺さぶる。繭良が少し悲鳴をあげたからか、そっと抱きなおして今度は頬を撫で、顎を引き寄せて唇を重ねる。
「んっ‥‥ん‥‥」
小さな手が少しばかりの抵抗なのかロキの肩を押し返す。けれど構わずロキは行為を続けた。繭良が抵抗を諦めた頃ロキは繭良の唇を解放し、頭を撫でてやりながらくすっと笑みを浮かべた。
「怖かった?アリス」
「ふえ‥‥」
「誰かを自分だけの物にして閉じ込めておきたいなんて欲張りだよ?アリス。だけどボクを閉じ込めるなんてできっこない、ボクの方が強いんだから。でもね、ボクはもっと欲張りなんだ。閉じ込めておくだけじゃ気がすまない。このままだともっと怖い事しちゃうかもね?。怖いの好き?♪」
「‥‥きりゃい‥‥」
「それなら此処を出るしかないよなぁ。でもボクは全然構わないよ?。まゆらにもっと怖い事したいし、まゆらを他の誰にも会わせずにずっと閉じ込めておきたいな」
「や〜‥‥まゆりゃ帰る〜。お兄ちゃんもみんなもおうちに帰してあげるー!。だから‥‥」
だから‥‥と続けたのを最後に泣き出す繭良をそっと胸に抱きしめ、ポンポンと優しく背中を叩いて慰めてやる。世界が、鏡の国が崩壊していくのを感じながら‥‥。
――ほんとに、欲張りなアリスだね。体が大きくても小さくてもさ、君はこのボクを独り占めにできるだけのものを、もうすでに自分の中に持ってるのに――
「ふっどうやらこの女に魔を憑けたのは成功だったようだな」
道端で眠り込んでいる――不信に見られないように移動はさせたが――三人に目を向け、少年は顔をほころばせた。その場にもう一人いる青年が眠っている少女の手を取ってなにやら嘆いているがそちらはお構いなしだ。
「今のうちに早くルーンだ!フレイ!」
「あ〜フレイのまゆらちゃん‥‥。ほんとにロキの神格を落としたらまゆらちゃんはフレイの物に?(←疑り)」
「ああそうだよ!いいから早くしろって!(←やけ)」
「む〜‥‥。『ルーンに汝は‥‥』」
「ふ〜んそういう事かぁ〜、東山和実君?」
「うわぁ!ロキ何故!?」
のそりと起き上がるロキにびくりっとフレイは手を引き、和実はフレイの影に隠れた。倒れている繭良と闇野、買い物袋と中身が散乱している。それを見やるとロキは立ち上がってスーパーの袋の端をつまんだ。
「あーあ、こんなにしちゃって‥‥。誰が弁償してくれんのかな?」
「ええっと‥‥じゃ!そういう事で!フレイは何も知らないのだ!」
「あっ!待て!ずるいぞフレイ!」
「まぁまだ日も高い事だし?♪ゆっくりして行きなよ♪。えっちゃんカモン!!」
逃げようと二人は身を翻すがロキの優秀な(?)式神が召喚される方が先。出血大サービスだな〜と笑いながらロキの体は邪神へと変化していく。
「どわぁ!何故だかロキ元に戻ってるのだ!?」
「しかも魔法使いまくり!?。何とかしろ!フレイ!」
「ボクを怒らせるとどうなるか、よーく教えてあげないと甘い顔をすると付け上がるからなぁ!小悪党どもは!!」
――小悪党(笑)の運命やいかに‥‥(笑)
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子供(はいつの日か大人(になって、
不思議の国からも鏡の国からも
旅立っていくのでしょう?
けれど大人(の中には子供(が住んでいて
アリスはまたいつでも
不思議と鏡に囲まれた国に迷い込む
それがいつか分からないけれど
必ずまた会いましょう
アリスはいつまでも、此処で待っています |
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アリスの居る国
終わり
あとぐぁき
えーと、ジャケット印刷レイアウトに午前半日潰して印刷しながら優雅にマフィンを食べつつ、誤字探しして未だに印刷しつつ、こんな状態でも
〆切まであと4日♪
明日からはパソコン使えないし‥‥(泣)こんなんで大丈夫なんでしょうか‥‥。
なんだかいやーなトリップしつつも、このお話は来々サマ♪への2001HITと2121HIT記念リク、覚醒ロキ×ちびまゆです‥‥そのはずです‥‥。チェスのとこは分岐にしようと思いつつも力尽きました‥‥。ほんとはすっごい昔に書いた話です‥‥。なので闇に葬りたいくらいなんですけど他にネタがなかったので(号泣)
もう読んだらどっか捨てちゃっていいです!!
(じゃああげるなって感じ〜。でも差し上げます〜無理矢理)
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