Agnus Dei ---------------------------------------------------------------------------------

私は時の流れの外で 同じ場所に留まっている

■実はこのキャラクタ,親世代小説を書く上では特に必要のない人物です.彼はあらゆるところでジェームズ達に語りかけますが,この役,別にリオン・グリスというキャラクタを作らなくても他にいるわけです,アルバス・ダンブルドアという助言役が.

■それなのにわざわざこの役を作った理由.あります.1つはダンブルドアがこの時期多忙であったという私的設定があり,ちょくちょく助言役として登場させられなかったこと.もう1つは何とかゴドリック・グリフィンドールとの接点を見出したかったことです.

■ジェームズやシリウスは,確かに大人びた考えを持つ,他の生徒たちよりも一歩先を歩いている少年達です.でも彼らはもっと先に行きたいと思い,でも先にいる大人という存在を憎んでもいます.そういった矛盾で悩んでいる普通の少年なのです.
 その少年達の前に,リオン・グリスはホグワーツで一番身近な”大人”として登場します.彼は少年達の疑問に,自分の答えを誠実に返します.それが少年達の求める答えであることはまずありません.とても曖昧であったり,また時には故意に解答をはぐらかすこともあります.しかしそれは少年達にとても重要なことなのです.彼は少年達の精神的な父親でもあります.

■彼の姿は将来教師としてホグワーツを訪れることになるリーマス・J・ルーピンの姿に似せてあります.益々リオン・グリスとしての人格は消えていくわけです.

■小説中,彼の人格はとても薄いものにしたかった私ですが,ゴドリック・グリフィンドールとの接点を与えるために色々とややこしい設定を与えてしまいました.何かを背負っている男性キャラクタが好きなんですよね…….

■そこでリオン・グリスの設定ですが,彼は闇の眷属です.人狼ではありませんよ.ローマ帝国時代医者として薬学研究に没頭していた魔法使いです.彼は医学研究の中,どんな病も治してしまう万能薬を作ろうとしました.当時不治の病にかかっていた彼は,自分に時間がないことを知っていました.その薬にだけに熱中して,彼は作り上げた薬を自らの体で試すべく,薬を服用しました.その後,想像できますね.彼は不老不死になってしまったのです.薬を飲んでから5年の月日を経ても,27から32になったというのに彼の体は全く衰えなかったのです.恐ろしい薬を作ってしまったと彼は思いました.記した研究書を全て燃やし,彼は表の世界から姿を消しました.

■長い間一人で生きて,3年ごとに住む場所を変えました.彼が表の世界と少しだけ関わりを持つのはゴドリック・グリフィンドールとの出会いからです.ゴドリックはマグルの女性と魔法使いの男性との間に産まれました.しかし女性は男性が魔法使いであることをゴドリックを身に宿してから知りました.女性は男性から逃げるようにしてゴドリックを産み落とすと,ゴドリックを捨ててしまったのです.リオンは捨てられている子供が魔法使いの資質を持っていることを見抜き,育てることにします.一人きりの生活に疲れていたのかもしれません.その後ゴドリックの父親がゴドリックを見つけ出します.ゴドリックに物心がついて,リオンの姿が変わらないことに疑問を抱きはじめた時でした.リオンは別れの時が来たのだと思い,ゴドリックをグリフィンドールの家へ帰します.

■ゴドリックはグリフィンドールの家へ引き取られた後,10年後にリオンと再会します.ゴドリックはずっとリオンを探していたのです.リオンがどのような存在であっても,自分の父親だとゴドリックはリオンに告げ,ゴドリックが死ぬまで2人の交流は続きました.

■その後,何度かホグワーツの教師として生徒を教えました.彼の秘密に気付いたのはアルバス・ダンブルドアだけでした.彼はゴドリックの創設したホグワーツを訪れることを何よりも喜びとしていました.ただ自分の秘密を知られぬためにも,3年以上は留まらず,ホグワーツを去ってから10年は再びここを訪れようとはしません.

■彼の教師としての態度は大体がカウンセリング,特に有名なロジャーズの理論に近い形で作られています.受容し,否定せず,そしてだらだらと長くは話さない.この姿勢は教育に必要ですが,生徒の形は様々なので,時には叱り,生徒の考えを否定することもします.こうできたらまたこうしてくれたら良いな,という青褐の理想でもあるのです.

私はそういう存在なのだ

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