恋愛 課外 授業
 一方で異色ツアーズは‥‥アシカショーのあるステージ側、神無達の斜め前から二人の様子を見ていた。高佳のさりげない紳士っぷりに苦悶する穂は放って置かれ、四季と馨はビデオを回しながらうーん、と唸りつつ物陰から二人を見守る。

「‥‥上着置かれちゃったから声がほとんど聞こえない‥‥。とりあえず高佳が『おいしい』って言ったのは分かった。俺の時はまったく言わないのに‥‥」
「怪獣のくせして料理だけは俺のガールフレンドよりうまいっすからね〜アレ。ところで俺達昼飯どうするんすか?四季さん。俺朝食いっぱぐれて‥‥」
「そこに喫茶店あるから何か買ってこようか。多分外で食べても大丈夫だと思うんだよね。穂さん何か希望ある?」
「うう〜鬼なのに〜、鬼に紳士ぶりで負けてる〜(苦悶)」
「あ、ほっといていいっすよ。なんか適当に買って来て下さい、好き嫌いなかったと思うし」
「了解、じゃあちょっと待ってて」
「‥‥。これ撮ってもいいっすか? 後で神無に見せてやったらおもしろそーっす‥‥(あと隠岐と小夜‥‥)」

『‥‥おもしろそうだからOK!』と四季がgoサインを出したので馨は振り返って身悶えながら『がんばれー!穂!』と自分を励ましている穂をビデオに収める。励ましていると思ったらまた高佳に勝手に負けた事を悔やみ始めているし、おもしれー、としばらく放っておく事にした。にしても‥‥と振り返ると神無が見知らぬ女の子の顔で高佳と楽しそうにお昼を食べている。『兄』(?)としては少し複雑な気分だ。

――まぁあれも一応女って事か? 高佳もあんな表情(かお)のわりに気配り十分だし、ありゃあ相当もてるな――

「‥‥ほんとに付き合いだしたりしてな‥‥。ありえねぇか、小五と高一じゃ‥‥」
「ダメー! 鬼と付き合うなんて僕は絶対認めないっ! 認めないったら認めないぞー!」
「だぁ!? ありえないって言ってんだろっ! 落ち着け!何処の親父だお前はっ!?」
「こらこら〜、興奮のあまり太刀守君襲っちゃ駄目でしょ?穂さん」

戻って来た四季が片手で軽く穂の後頭部を叩こうとするが、穂が暴れた勢いで首筋の急所にはまってそのまま地面に倒れていく。あ‥‥と四季と馨が顔を見合わせるが、まぁいっか、と少し移動しただけでそのまま放置する事にした。

「はい、サンドイッチとコーヒー」
「あ、サンキューでっす、頂きます」
「これだけでも外で買うと結構高いんだよな‥‥作ってくれば良かった‥‥。ってそんな事したら高佳に気付かれてたと思うけどね」
「同感っす‥‥」
「食べたら少し交代するね、ありがとう太刀守君。にしても、穂さんもなんでそんな鬼鬼こだわるかな‥‥。なんか嫌な思い出でもあるとか?」
「どうっすかね? これでも一応祓い師やってるんで、仕事関係でなんかあったとか? ってもろくに仕事してるとこ見た事ねぇっすけど。でも、俺は高佳と知り合って結構話したし、神無や瑞樹や四季さんが一緒だったから別に平気っすけど、そうじゃなかったら穂とおんなじだったかもしれないっすね」

そうかな? と少し不満げな四季はサンドイッチを頬ばりながら馨を見た。そのちょっとふてくされた顔すら衣装のせいで可愛らしい‥‥。うっかり変な気分になりそうなので慌てて馨はビデオの画面に目を向けた。

「四季さんは生まれた頃から高佳と一緒だったから分かんないかも知れないっすけど、高佳の力は確かに怖いっすよ。神無と離れててもあの威圧感は分かるし。でもそれとは裏腹な中身を知ってるから平気ってとこっすかね‥‥」
「ふうん? そう言えば、穂さん彼女いるって言ってたけど、やけに神無と高佳も気にするよね? やっぱり可愛い妹がっ!って感じ?」
「ん〜‥‥どっちかってーとうるさい弟‥‥。神無と会ったのがアレだったから、一応気にしてんのかな‥‥?穂も」
「アレ?」

と四季が首を傾げる。その態度は返事を求めているようにも見えたが、強制は感じない。それでも馨は喉の奥に引っかかるような、息苦しさを感じた。神無はもう、何事もなかったように笑う。けれど、一人で警察病院に父親を見舞いに行っているのを、馨は知っている。馨にも穂にも、その時だけは絶対に一緒に来てとは言わない。もう終わったのに、まだあの時のように‥‥一人で虚勢を張っているんだろう‥‥。

「‥‥ビデオ、代わって下さい、トイレ行ってきます」
「うん、ごめんね、ありがとう」

言いたくない、という馨の心情を察したらしい四季がごめんね、をありがとうに隠して言う。その心遣いをありがたく思いながらも、馨は早足でその場を離れた。

 ご馳走様、と高佳が微笑を向けるとお粗末様でした、と神無も笑う。空になった重箱を片付け、足元に下ろすとアシカショーのために神無が席を詰め、残っていたお茶を一口飲んでふう、とため息を漏らす。

「そういえば、今日瑞樹は良かったの?」
「‥‥瑞樹は、今日は叔父さんの買い物に付き合ってる」
「ふうん? 高佳ちょっと不満げ?」
「別にそういうわけじゃないが‥‥、そう見えるか?」

うん、と神無が頷くとじゃあそうなのか‥‥と高佳が呟く。自分の感情を良く把握していない、意外と不器用だ。

「じゃあ、今日のデートを生かして今度は瑞樹を誘わないと!」
「‥‥。瑞樹を?」
「うん! かなり段階をすっ飛ばしちゃってるけど、こんな風にいろんな所に遊びに行ったりして、瑞樹と仲良くならなきゃ!」
「‥‥けれど、俺は『鬼』だ‥‥。あの仔犬達みたいに、瑞樹は俺の中の鬼に怯えてる‥‥。逃げる事はしないけれど、それは優しさ故。俺も、瑞樹が俺の捜していた者と同じかどうかは分からない。どうしたらいいのか‥‥。だから、このまま触れずにそっと‥‥」
「『俺は鬼』発言は禁止! 高佳は人間だよ! ちゃんと人間に産み直してくれたお母さんがいるんでしょ? お父さんとお兄ちゃんもいて、立派に人間じゃないか!」

年下の少女に叱られて高佳はきょとん、と相手を見下ろす。自分は極当たり前の事、それこそ今の空を差して『晴れだ』と言うくらいに当たり前の事を言っただけなのだが、神無は可愛らしく頬を膨らませて――本人としては本気で怒っているつもりだが――見上げている。

「産み‥‥直す‥‥?」
「瑞樹が高佳の捜してる女(ひと)じゃなかったら瑞樹の事はもう嫌いなの? そんなの違う、瑞樹が瑞樹だから好きなんじゃないの? 鬼だから、人間として瑞樹の傍にはいられないの? 高佳が望むなら、確かめてみる?」
「どうやって? 俺はもう、あの女の顔も、魂すらも覚えていない‥‥」
「あたしの封印を解いて、高佳。そうすれば分かる」
「けれど、いくら神無が見鬼でも‥‥。それにその封印は」
「あたしは見鬼じゃない、もちろん見鬼でもあるけど。もっと奥まで霊視(み)て。高佳になら分かるよ」

言われた通り、高佳は神無を見下ろした。封印のかかった金目は人ならざるものを見通す鬼眼。その奥‥‥、金目を見つめたまま、ずっと意識を神無の中へと移す。幾重にも巻き付いた封印の鎖。その奥にあるのは‥‥深い、空の空間。それはとても居心地が良い、そして力漲る場所である事を『鬼』の部分が悟る。封印の鎖を無理矢理にでも引き裂いて、その中に溶け込みたいと思うほどの‥‥。

「!!」

いつの間にか力を込めて掴んでいた神無の肩を突き放し、高佳は顔を逸らした。自分の黒い瞳はおそらく本来の色、赤に染まっているだろう。切れた息を整えるため大きく空気を吸い込む。霊視(み)えた? と何事もないように神無が問いかけた。

「‥‥悪い、神無‥‥手荒な事をして‥‥」
「ううん。分かったでしょ? あたしの中にある空座のお社。でも、高佳は拒否した、人で在り続けるために」
「‥‥悪い、そこに入る事はできない。神無が望んでいるのだとしても、俺には‥‥その資格はない」
「うん、分かってる。振られるのは二回目だから、へーき。あたしのこの封印をしてくれたのは神様なんだ。高佳と同じ、人の体の中に入った神様。その人も言った、今のこの体を出る事はできない、人として生き、今度こそ人として死ねるかもしれないからって」
「!」
「なんでも出来る、『神様』としての存在を捨てて、多分、巫としても異常なくらい力を持ったあたしを目の前にして、それでも人のままがいいんだって。‥‥高佳が『俺は鬼だから』、人じゃないんだって言うと、正直あたしが辛い。人の体で産まれた、同じように人でないあたしも、辛いんだ」

『神無は人だ』と迷う事無く高佳は言う、けれど神無は自嘲気味に笑った。じゃあ、高佳も人だ、と神無が言うと、高佳は困ったように違う、と首を振る。どうして? と神無が見上げて首を傾げると、高佳は返答に詰まってただ困ったように神無を見下ろす。

「あたしと高佳、何が違うの? 高佳は望んで鬼になった。でも人の心は捨ててない。あたしは生まれつき神を宿してない、異端の巫。指導する者がないまま、ただ霊力(ちから)だけ溢れた危険な爆弾。人にとって害を成すのが人でないなら、あたしは立派に人外だよ。高佳が鬼になってまで一人の女(ひと)を待ってた気持ち、あたしも分かる‥‥。あたしもずっと待ってた。高佳に比べたらずっと短いけど、ずっとあたしの『神様』を待ってた」
「‥‥神が居ない巫だろうと、神無は人だ。俺とは違う、うまく言えないけれど」
「違わないよっ! やっと出会えた人は、あたしの神様じゃなかった‥‥。その人は人として生きるって‥‥。でもあたし諦めきれてない‥‥。でも、あたしはもう神様を宿す資格すらないんだ‥‥。やっぱり高佳とも違う‥‥。あたし、あの犬神に憑かれた女と一緒だ‥‥。あれからずっと考えてた‥‥」
「神無‥‥?」
「あたし‥‥あたしの霊力(ちから)が父さんを壊した‥‥。父さんは母さんを生き返らせる妄執に駆られて、悪魔に憑かれてた。その悪魔ごと、あたしが父さんを壊したんだ‥‥。これ以上人を殺させないため、そんなんじゃない! あたしが生き残るため、父さんに殺される前に、あたしが父さんを殺したんだ‥‥」

泣き出す神無に戸惑いながら、高佳はその小さな体を抱き寄せた。犬神の事件から一ヶ月。さっきまで明るくはしゃいでいた少女はそこには居ない。あの事件の前に何があったのかは断片的な神無の話しでは全体は掴めない。けれど、辛い事件があって、それを必死に忘れようとしていたのだろう。それがあの事件で思い出されてしまったのだ。それでも、何事もないようにはしゃいで‥‥。

「一月、ずっと一人で考えてたのか‥‥?」
「‥‥っ」
「その『神様』にも、言えなかったのか?」
「‥‥言えない‥‥。忘れさせようとしてくれたの‥‥、あたしの代わりに父さんを止めようとしてくれたの‥‥。でも勝手な事したのはあたし‥‥。あたしが全部勝手にやったの‥‥。なのに、そんな事言ったら、余計苦しませる‥‥。もう神様じゃないのに‥‥」
「そうか‥‥。大丈夫、神無はあの女とは違う。神無が言うんだから俺も人間なんだろう。その俺が言うんだから神無も人間だ。人間以外は泣かないし、後悔もしない。自分の身を守るために誰かを傷付けても、それで自分の心を傷付けたりはしない。もうその事は引き摺るな。神無が身を守らなければ俺は神無に会えなかった。俺を人だと言ってくれたお前には」

きゅっと神無が高佳にしがみ付く。一月、その思いと共に涙も我慢していたのだろう。結構強がりなんだな、と思いながら抱いた神無の肩を優しく叩く。アシカショーの時間が近付いてきたのか、集まってきた人々が不審そうにこちらを見ながら離れた場所に席を取る。そんな事には気を止めず、高佳は神無の気が済むのを待つ。数分経って神無が体を起こし、顔を手の甲で拭いた。

「顔洗ってくる‥‥」
「ああ」
「あのね、高佳と瑞樹の事はほんとに応援してるから‥‥知りたくなったらいつでも封印解いていいから。‥‥瑞樹が捜してた女(ひと)だといいね‥‥」
「ありがとう、神無」

顔を伏せたまま神無は人を避けて走って行く。それを見送って高佳はステージ傍の一角に目を向けた。そこに動くものは見当たらない、その他の不審な物も。気がすんだらしく、高佳はステージに目をやった。その上ではスタッフがショーの準備を始めている。始まる前に戻ってくるといいが‥‥と神無を案じ、何もする事がなくなった高佳はぼーっとスタッフを目で追った。

 馨はトイレに行った帰りにうっかりと可愛い女の子達に呼び止められ、そのまま話していた。その向かいから神無が走って来るのに気付いて慌てて女の子達に別れを告げ、四季達の待つステージ傍に戻って来た。と、そこにいる四季はビデオカメラの様子を見ていて、そのすぐ傍に穂が沈没したようにずーんと頭を垂れて膝を抱えている。石か何かでも乗ってるのか‥‥? と馨が不審そうに見ていると気付いた四季が顔を上げてお帰りー、と声をかける。

「‥‥どうしたんすか? これ」
「さぁ? いきなり起きあがって怖い顔したかと思えば、今度は真剣にイヤホンに耳を傾けて‥‥。神無が泣き出した辺りからこんな感じ」
「神無が泣いた? 何で?」
「さぁ‥‥。高佳が泣かせた、ってわけではないみたいだけど‥‥。ビデオ見てみる?」
「‥‥んにゃ、後でいいっす、バッテリー心配だし。どうしたんだよ、穂」
「なんでもナイです‥‥。自分の不甲斐なさを痛感して反省してるだけ‥‥。そっとしておいてくだサイ‥‥」

さっきからこんな感じ、と四季が肩を竦める。コメントのしようがなかったので馨も肩を竦めただけ。言われた通りに穂を放置して、観客席の方を見ると高佳が退屈そうに――見えるが顔はいつもと変わらぬ無表情だ――座っている。そんな高佳だけ撮っても仕方ない、と思っているのか四季はテープの残量やバッテリーの残量を確認している。

「お、ショーが始まったみたいっすね。ああ、怪獣も帰って来た。別にさっきと変わりないっすけど?」
「そう? ああ、ほんとだ、元気そう。なんだったんだろう‥‥?」
「ビデオ代わりますよ、四季さん」
「あ、ありがとう」

ビデオカメラの画面に映る神無は先ほどまでと変わりなく、むしろ余計元気を増したみたいにはしゃいでいる。そんなにおもしろいのか? と馨はショーの方を見てみたくなったが、どうせ子供が喜ぶような内容だろう、とすぐに思い直した。けれど小さくだが、時々高佳も拍手している。結構気に入ったらしい。

「おう‥‥高佳が拍手してる‥‥。高佳、動物とか好きなんすか?」
「うん、好きは好きみたい。でも動物園は行きたがらないからどうしてかなと思ってたけど、さっきの仔犬の反応でようやく分かったよ。魚は鈍感っぽいけど犬とかはやっぱり分かるんだろうね、鬼だって事が」
「‥‥アシカは逃げないんすか?」
「さぁ? ステージまで距離があるから平気なんじゃないかな。ペンギンも逃げてかなかったし」

そう言われてみれば、ペンギンは確かに逃げていかなかった。距離があれば別にいいのか‥‥。馨は感心しながらビデオに映る高佳と神無に目を向け、小さくあくびをした。

 二十分ほどのショーが終わり、アシカが退場していくと『おもしろかった♪』と神無が笑顔で高佳を見上げる。高佳に話す事で大分すっきりしたのだろう。屈託ない笑みに安心した高佳も微笑を返す。

「これで水族館の中は一周したな‥‥。どうする?」
「えっと、じゃあ下りる? もう一回だけマンボウ挑戦していい?」
「‥‥。神無がいいなら別にいいが?」
「その後お土産買いに行く!」

予定が決まった所で高佳が立ち上がり、神無に向けて片手を伸ばす。少し照れた様子でその手を取り、立ちあがった神無は敷いていた上着を取ってありがとう、と高佳に返した。その上着を着て、神無が持ち上げた風呂敷包みを取り上げると退場する人並みに紛れて二人はエスカレータに向かい、再びマンボウのいる水槽の前に戻った。相変わらず怖い顔をしたマンボウがぼーっと泳いでいる水槽に噛り付き、一人我慢大会でもしているように神無は目を逸らさない。高佳はマイペースに、同じくマイペースなマンボウを観察する。二、三分してリタイアしたらしい神無がきゅっとしがみ付いて来た。

「もういいのか?」
「やっぱり怖い‥‥。うん、お店行こう!」

苦手を苦手なままにしようとしないのは感心だが、やっぱり克服できない物もあるらしい。案内表示に従って出口に向かうとゲートの前に館内ショップがあった。神無が歓声を上げ、並べてあったぬいぐるみを手に取って抱き締める。

「‥‥あれだけ怖がったのにマンボウなのか‥‥?」
「こんな感じだと思ってたの! これなら可愛い♪」

神無が抱えたのは大きなマンボウのぬいぐるみ。デフォルメされたそれなら確かに可愛い。さらに神無はそばにあったケープペンギンのぬいぐるみも手に取り、さらに先ほど見たアシカのぬいぐるみとラッコのぬいぐるみを見てむー、と唸っている。さすがに四つはその手に抱え切れない。

「‥‥全部買うのか?」
「さすがにムリ‥‥。どれがいいと思う?高佳」
「‥‥。神無が一番好きなのにすれば‥‥」
「全部好きなのー!」

コメントできずに高佳が黙り込むと悩んでいるのを察してくれたのか、神無が『しばらく考えてるから高佳もお土産見てきて』と解放してくれる。解放してもらった所で何を買ったらいいのか分からないが‥‥海産物を取り扱うコーナーがあったので思わずそこで立ち止まる。安いのか高いのかは分からないが、自分の小遣いの範囲で買って行くなら別に構わないだろう。と四季と父への土産はそこにある魚の干物とイカの塩辛になった。あとは幼馴染と瑞樹の分だが‥‥幼馴染に買って行くと色々追求されそうな気がする‥‥。かと言って買っていかないと四季から話が漏れた時に煩いに違いない。あまり変な物――例えばマンボウとか――を買うと余計に煩いだろうから無難にラッコのぬいぐるみのついたキーホルダーでも買っておく事にする。瑞樹は何にしようか‥‥と悩むがいい物が思いつかない。なるべくあげても瑞樹の負担にならなくて、けれど瑞樹に合う物がいい‥‥。とショップ内を見て回ったが、これといって目に止まる物はなかった。相談してみよう、と神無を捜すとその手の中の物がさらに増えていた。小さな指にケープペンギンのキーホルダーを三つぶら下げ、マンボウのぬいぐるみは手放さず、ケープペンギンの大きなぬいぐるみも抱えたまま。そして目の前のアシカとラッコともにらめっこしている。

「神無‥‥さっきより増えてないか?‥‥」
「あ、高佳。これは友達の、おそろいで自分も。高佳は? あ、ラッコも可愛い〜♪。これ誰の?」
「幼馴染のだ。買ってかないと後で煩い」
「こっちは四季とお父さん? ‥‥これ結構高いと思うよ? お父さんは喜ぶと思うけど、四季は喜ぶより先にお説教になると思うけど‥‥」
「やっぱりそうか‥‥。じゃあ干物はやめよう」
「車のキーに付けるキーホルダーとかは? あ、そうだ‥‥。高佳、四季も、甘い物は好き?」

甘い物‥‥と繰り返して高佳は少し考える素振りを見せた。甘い物の定義が曖昧だったことに気付いて『シュークリームとかロールケーキとか』と神無が付け加えるとああ、と高佳が納得の言葉を漏らす。

「俺は嫌いじゃない。四季も和菓子系が好きだが、多分嫌いじゃないと思う」
「下の階にあるナ○ジ○タウンにシュークリームのテーマパークがあるんだ。そこで今ロールケーキ博覧会もやってるの。そこに寄ってかない? そこのお土産なら四季も文句ないと思うよ♪」
「そうだな、そうするか」
「ナ○ジ○タウンに行くならナ○ャヴも欲しい‥‥。ぬいぐるみどうしよ‥‥」
「ああ、四季の土産の相談に来たんじゃなかった‥‥。神無、瑞樹に何を買っていったらいいと思う?」
「え?瑞樹‥‥? 幼馴染の方がまだ自然だと思うけど‥‥。高校生男子が何欲しいかなんて分かんないよ〜。馨とは全然タイプ違うし」

『やっぱりそうか‥‥』と落胆もなく、平坦な声で呟いた高佳はいっそ買わない方がいいだろうか? と小さく続ける。と、神無の耳に入ったらしく、それは良くない、と頬を膨らませた。そして一緒に探す、と言ってぬいぐるみを棚に戻す。ようやく決めたのか、マンボウは抱き締めたままだ。

「白い貝殻とか、瑞樹のイメージだよね‥‥。ってそんな物貰っても困る?」
「‥‥少なくとも俺はどうしたらいいか分からない」
「だよね‥‥。じゃあ実用的なものにしようよ、身近に持ってられる物」
「あ、ちょっと干物を置いてくる」

先ほどの場所に干物を戻して高佳は再び神無を探した。先程別れた場所にはもういない。神無を捜しながら、高佳はぱっと目に付いたマンボウのキーホルダーを手に取った。四季の車のキーにでも付けておくか、と思っていると傍に寄って来た神無に袖を引っ張られた。

「高佳‥‥それはさすがにどうかと‥‥」
「いや、これは四季に」
「あ、そう? って高佳、自分の買ってなくない?」
「じゃあ俺もこれを(『マンボウ気に入ったんだ‥‥高佳。ってか俺もマンボウなのっ!?』四季)」
「高佳がいいなら別にいいけど‥‥。あ、そだそだ、こっち来て。あれどうかな」

と神無に袖を引っ張られて付いて行くと携帯ストラップがたくさん下げられたコーナーに着く。その中の一個を神無が手に取ってこれ、と高佳に見せる。蒼い、天然石らしき物を削って作られたイルカの飾りが付いているだけで、シンプルな作りだ。けれどその周りにある数珠のように貝やヒトデの飾りを繋げた物や、水族館のロゴをぶら下げた物より断然いい。

「ああ、これがいい。ありがとう、神無(←結構お気に召したらしい)」
「どういたしまして♪。じゃあ買っちゃおうか‥‥って、高佳?」

ひょいっとマンボウのぬいぐるみを取り上げられてそれを視線で追い、不思議そうな顔で神無は高佳を見上げる。が、高佳は気にせずレジへ向かって行くので慌てて追いかけて来た。

「高佳! 別に重くないよ?」
「俺が買う、プレゼントだ」
「‥‥えっ!? 別に!お小遣い貰ってるし大丈夫だよっ!?」
「デートでは男が女に何かを買うんだろう? そう朱美が言ってた」
「いや、それは違うと思うけど‥‥。とにかく大丈夫だってば!」
「じゃあ、此処のチケットとおいしい弁当のお礼だ。それなら良いだろう?」

高佳の微笑に神無は言葉を失い、うー、と唸ってしばし抵抗を見せる。けれど高佳は構わずレジカウンターに自分のみやげ物と神無のぬいぐるみを置いてしまう。じゃあ! と神無は脇から手を伸ばし、高佳のマンボウのキーホルダーを一つ取った。

「!」
「これはあたしが買ってあげる! 今日の記念!」

きょとん、と神無を見返して高佳が断ろうとするがレジのお姉さんが『以上でよろしいでうか?』と声をかけてきたところに間髪いれず神無が『はい』と勝手に返事を返す。話しの一部始終が聞こえていたらしく、『こちらプレゼント用にしておきますね』とマンボウのぬいぐるみは他の物より可愛くラッピングされていく。今更めんどうになったので高佳はそれで会計を済ませた。次いで神無が会計を済ませ、別に包装してもらったマンボウのキーホルダーを差し出すので高佳も代わりにマンボウのぬいぐるみを差し出した。

「ありがと!高佳♪」
「俺もありがとう」

えへへ♪と照れ半分、嬉しさ半分に笑って神無は袋毎ぬいぐるみを抱き締める。つられて微笑した高佳が『行くか?』と問うと神無は満開の笑みで微笑み、ぬいぐるみを片手に移して歩き出す高佳の腕を掴んだ。

 一方の異色ツアーズ。撃沈状態の穂を四季が引き摺ってショップの傍で様子を伺っていたが、次の行き先を聞いて馨が『どうします?』と四季を振り返る。

「ナ○ジ○タウンかぁ。多分お土産買うだけだよね? だったらせっかくだし付いて行こうか?」
「ナ○ジ○タウン!?」
「あ、穂スイッチ入ったか? おう、どうする?行くか?」
「小夜子さんと二人で行こうと思ってたのにー!」
「あ、穂さんの好きな人小夜子さんて言うんですか? じゃあちょうどいいじゃないですか、下見って事で行きましょう」
「思いっきりデートスポットじゃないですかっ!? 許すまじ!鬼ぃ!」

『言い出したのは神無だけどな〜』と呟くが穂は聞いていない。多分神無が誘っている所も聞いていなかったのだろう。穂が打倒高佳モードになっているが、引き摺る手間が省けたので別にいいや、と四季は思いながら神無と高佳の乗ったエレベーターを見送り、次のエレベーターでナ○ジ○タウンのフロアに下りた。エレベーターの中では途切れていたスピーカーが再び二人の声を捕らえる。『行こう♪』と神無がはしゃぐ声に辺りを見まわすとゲートをくぐって中に入って行く二人の姿が見える。荷物は預けたのか、二人共手ぶらだ。

「よしっ! 入園券でいいですよね? 大人三枚っと」
「(張り切ってんな、穂‥‥)サンキュー」
「ありがとうございます、えっといくら‥‥?」
「三百円ですから、いいですよ、このくらい。それより早く追わないと!」

さっきの撃沈から一転、妙にハイになった穂に慌てて続き、三人もゲートをくぐった。ゲート付近ではビデオカメラを隠し、係員が見えなくなった所で馨は再びビデオを取り出した。スピーカーを頼りに二人の姿を捜すが、『いた!』と叫んで穂が階段に向かうのが先。確かに二人が三階に続く階段を昇っていくのが見える。慌てて四季と馨は追いかけ、そのまま高佳に飛びかかりそうな勢いの穂を捕獲する。

「穂さん‥‥とりあえず何もない限りはそっとしときましょうね‥‥」
「分かってます! 何もない限りはね‥‥」
「なんか怖いぞ、穂‥‥」
『ナ○ャヴはっけーん!!』

スピーカーから神無の声が漏れ、前方を見やるときゃー♪と歓声を上げながら神無が片眼鏡に蝶ネクタイをした猫の着ぐるみに飛びかかっていた。このテーマパークのシンボルキャラクターらしい。高佳はほう、とでも言うように棒立ちで見守っている。着ぐるみの方も商売なので一応可愛らしく相手をしているが、あれじゃあ身が持たないだろう‥‥と馨が同情していると、『あ、可愛い』とか隣で言いながら四季がカメラを取り出して写真に収める。

「‥‥。なんでカメラまで持ってんすか?‥‥四季さん」
「フィルム出すついでに新しいの買っておいたんだ。ビデオのバッテリー切れたらいけないと思って」
「あ、二人が移動する!」

堪能したのかバイバイ、と着ぐるみに手を振って別れ、二人はマカロニ広場の方に歩き出す。東京シュークリーム畑やらロールケーキ博覧会をやっているらしい。三人も十分に距離を取って後を付いて行くとまずはロールケーキ博覧会の方へと入って行った。色々な店が建ち並ぶ様子に感嘆しながら歩いていた神無がふと足を止め、一店の前にディスプレイされたロールケーキを見てにこぉ‥‥と微笑む。こちらからは茶色の、チョコか何かにしか見えない。

「‥‥ヤバイ‥‥変な物見つけたぞ、あの顔は‥‥」
「え? 普通に『おいしそう』って喜んでるように見えるけどな‥‥」
『‥‥納豆チョコロール‥‥。食べたいのか‥‥?神無』
『ううん♪(←笑顔満開)』

うげっ‥‥と三人が三様に顔をしかめ、四季が前言撤回を決めるが、神無はまだにこにこと納豆チョコロールなるケーキを見ている。無表情を少しばかりしかめた高佳が『神無』と声をかけると『何?』と神無が笑顔のまま振り返った。

『それは多分殺人的だと思うから‥‥誰に食べさせる気か知らないがやめておいた方がいい』
『ちぇっ‥‥ばれた。しょうがないなー、じゃあ他のにする〜』
「誰かって‥‥もしかしないでも僕‥‥? ああ‥‥鬼に助けられるなんて不覚‥‥。でも止めてくれて良かった‥‥」
「納豆チョコ‥‥俺じゃなくて良かった‥‥」
「意外と過激だね‥‥神無も」

過激派のテロ工作を止めた高佳と、阻止されたテロリストの神無は再び店を巡り始める。半分を過ぎた所で何か気に入った物があったのか、『ねぇねぇ♪』と神無が組んでいた高佳の腕を引っ張って見上げた。

「一切れずつ買って食べられるみたいだからちょっと試食してみようよ♪」
「‥‥、そうだな」

ちょっと考えた様子の高佳は昼食を食べた後なのでお腹と相談したようだ。神無は女の子の専売特許、『甘い物は別腹』で余裕の様子。すでに決めていたらしく、神無はロリアンという店のおとめロール――とちおとめというイチゴを使った物だ――を買った。高佳は隣の御菓子みわやのくるみの樹。さらに神無はシェ・ワタナベのおにぎりくん、高佳は宇治茶 伊藤久右衛門の宇治茶ロールケーキを買ってマカロニ広場のカフェテーブルに向かった。馨は昼が少し足りなかったかな‥‥と思いながら後を付いていくと察したようなタイミングの良さで四季が声をかけてきた。

「俺達もせっかくだから何か食べようか? 太刀守君何がいい?」
「おっラッキー♪。ちょうど食べたかったんすよね♪。激甘とか納豆ロールみたいなゲテモノ系じゃなければ何でもOKっす♪」
「分かった。穂さんは‥‥」
「僕もなんでも‥‥」
「一緒に来て下さい、目離すと乗り込みそうだし」
「ええー!? わー!四季さんっ!! 馨君!あとは頼んだ!!」

何を頼まれたんだが分からない事にして馨はあっさり無視して高佳と神無を追っていく。『飲み物いる?』『じゃあ何か買ってくる』と会話して二人が別れ別れになったので馨はケーキの乗ったトレイを持ってテーブルに向かう神無を追った。神無が奥側の席を取ったので少し離れ、メリーゴーランドを模った飾り物で微妙に隠れるテーブルに馨も席を取ると、高佳がアイスティか何かのグラスを持って歩いて来る。さっとビデオを隠してやり過ごすと気付かなかったのか、二人は何事もなくケーキを摘み始めた。馨がそっとビデオカメラを取り出し、テーブルの上に置いて何気なく二人が映るよう位置を調整していると休日のOLらしい女性二人が向かいのテーブルに座り、程なくして四季と穂が連れ立って戻って来た。

「重さ一キロあるっていうから思わず買っちゃったよ、もう切られちゃったけどね‥‥。はい、ノワール。あとふらのミルクロールに、五郎島ごろごろ、キャンディロール、堂島こめこめロール、金太郎ロール、こんなんでいいかな?」
「おう♪、ところどころ変なのが入ってた気もするけど‥‥十分っす♪」
「馨君ブラックのコーヒーね。四季さんはアイスティ、どうぞ」
「ありがとう。じゃあ頂きます」

丁寧に手を合わせる四季につられて慌てて手を合わせ、馨と穂もケーキに手を伸ばしてそれぞれ口に運んだ。しかし、神無達が気になるのか、穂は口を動かしながら顔を横に向けて二人のテーブルを見やる。と向かいの――穂にとっては後ろだが――OL風の一人が『きゃー♪』と小さく歓声を上げて連れの一人を呼んだ。

「見て見て♪あそこの席の外人の女の子、可愛い〜♪。外人でもゴスロリ着るんだ?」
「!(神無の事だな‥‥)」
「ほんと♪。あ、でも見て、二人共可愛いわよ♪。ほら、男の子の方、女の子の口元のクリーム取ってあげてる♪」
「!!(可愛い? 高佳がっ!? OLから見れば可愛い部類なのか!?)」
「どれどれ?」

つられて三人が見るとちょっと顔を逸らす神無の頬に付いた生クリームを高佳が指で拭っている。指についたそれを高佳が舐めるとOL二人が揃って『可愛い〜♪』と小さく歓声を上げる。さらに神無が身を乗り出して『ちょうだい♪』と高佳のくるみの樹を持った手首を掴み、ぱくっと齧り付いた。それを見ていたOLが身をよじりながらさらに可愛いを連発する。

「あの二人どういう関係なのかしら♪。年的には兄妹に見えるけど、男の子は日本人よね?」
「年の差カップル!? でも見てて全然変な関係じゃないよね? むしろ自然な感じ‥‥♪。やーん♪可愛い♪。私絶対応援しちゃう♪」
「‥‥あの二人はむぐっ‥‥むーっ!!(カップルでもなんでもないんだったらっ! そんなの僕が絶対、ぜーっったい許さなーい!!)」
「はいはい、落ち着いてね、穂さん。此処で騒いだら見つかるから、間違いなく。そして無関係な彼女達に迷惑だから」
「おもしれー♪、穂。これ後で神無に見せたろ‥‥」

そう言って馨は穂が暴れ出す少し前からテーブルの上から取り上げていたビデオカメラで穂の動揺っぷりを撮影する。っと、もう食べ終えたらしい神無と高佳が席を立ったので慌てて穂をテーブルの下に隠し、カップル(!?)を装った馨と四季で二人をやり過ごす。こちらにはまったく気付かず、二人はお土産を選ぶためにか、店の列へと戻って行った。

「ったー‥‥。乱暴ですよぉ四季さん‥‥」
「ごめん、穂さん。二人が来たからとっさに‥‥。二人は店の方? お土産選びか‥‥。じゃあ早くこれ食べちゃって追いかけよう」
「了解っす、残したらもったいないし」
「なんか僕‥‥、食欲すらなくなってきた‥‥。はっ‥‥しまった!お土産‥‥」
「? 誰かに買わなきゃいけないんですか?穂さん」
「いや‥‥、昨日H水族館で神無にお土産買わなきゃと思って‥‥すっかり忘れてたんです‥‥」

穂の発言に二人共しばらくの沈黙。ふーん、と馨はそのまま流してキャンディーロールを一つ取って口の中に放り込む。四季の方はあーあ、とため息をついて同情の視線を向けた。

「彼女とのデートで舞上がって忘れちゃったんですね‥‥穂さん。それは怒るでしょうね、神無」
「いや?別に土産なくても怒んないと思うぜ? 大して期待してないだろうし。ただ忘れてた、とか言ったら激怒だろうな? 土産買ってくるような心の余裕があれば機嫌直すかもしれねーけど。まぁ、良かったじゃねーか。今日見てたぬいぐるみの中のマンボウ以外ならどれでもOKだぜ」
「上で買ったらばれるからとりあえず隠岐にメールして頼むっ!」
「それはそれでずるいような‥‥。まぁいいけど‥‥」

神無のご機嫌取りに必死の様子な穂に同情して四季は咎めの言葉を飲み込んだ。馨は隠岐がぬいぐるみを買っている姿を想像して――いや、多分人に頼むなり、穂の名目で取り寄せるのだろうが――思わず吹き出した。『どうしたの‥‥?』と心配げに顔を覗き込んでくる四季には分からないネタなので『なんでもないっす‥‥』とごまかし、馨はブラックのコーヒーでケーキごと飲み下した。

「これでもう帰るんすかね? 帰りはどうするんすか? 電車の中まで追っかける?‥‥」
「当然っ! 神無が無事に帰るのを見届けるまではっ!」
「(将来娘生まれたら大変だろうなぁ、穂さん)そういうわけらしいから、俺車で太刀守君の家に向かうよ。穂さんが暴走して飛び出さないように見張りよろしく、太刀守君」
「らじゃっ」

役割分担を決めると、とりあえずナ○ジ○タウンを出るまでは三人は揃って神無と高佳の後を追った。結局お土産はおとめロールにくるみの樹と宇治茶ロールケーキで決めたらしい。お土産の袋を手にした二人はマカロニ広場を後にし、ナ○ャヴルームなるショップにナ○ャヴの小さいぬいぐるみを神無が買いに行った。神無が戻ってくると二人はそのままナ○ジ○タウンのゲートをくぐり、ロッカーに預けた荷物を取って駅へと向かう。

「じゃあ、俺車取って戻るから。一応カメラも預けておくね。穂さん、くれぐれも!邪魔しないようにお願いしますよ?」
「何もなければ何もしませんって。なにもなければね‥‥」
「(今日はずいぶんブルーでブラックだな‥‥穂‥‥)じゃあ四季さん、また後で」
「うん、よろしくね、太刀守君」

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