でりしゃす☆でふぃーと

 「うむ、なかなかの出来だ。フレイは満足である♪」
と満面の笑みを浮かべる青年。白い詰襟の服にゆるく肩に羽織った蒼いケープ、いやマントと言うべきか‥‥。劇団員が舞台衣装のまま飛び出して来てしまったような出で立ちだが笑い飛ばせない何かがある。どうでもいいけど‥‥と世界を震わす声にん?と青年は顔を上げた。
「何でボクのうちに居座ってるんだよ‥‥しかも顔見られてるってのにその格好!おまけのその犯行予告!!」
「何を言う、東山和実。フレイと貴様はもはや運命共同体‥‥。これすなわち共犯と言うのだ♪」
「誰が共犯だ!」
「なに?このフレイに不平を言うというのか?。おう!フレイとした事が‥‥何たる失態‥‥!。犯行予告にちゃんと名前を書いてやらねばな♪。『&ヘム』っと」

「違ぁーう!しかも何ゆえヘム!?」
「東山和実ではまずかろうと思って。フレイ優しーい♪」
「消せー!!」
「さ、FAXだ」
「かしこまりました」
「出すな!!」
と少年が犯行予告奪回のためにFAX用フレイ様作神の所業君(仮)に飛び掛るが一足遅く、きるきると犯行予告がFAX用フレイ様作神の所業君(仮)の口に飲み込まれて行く。
「‥‥(←唖然)」
「送信しました」
「うむ、ご苦労」
「出すなと言われたので出しませんがよろしいですか?」
「ああ。いや、待て待て、これと一緒にあのまゆらちゃんの所にも届けておけ」
「かしこまりました」
何を物好きな‥‥と少年はぼやくが青年の耳には入らなかったようだ。楽しげになにやら少年の家に届いた広告の一つを見ている。
「やれやれ、今度は何を盗む気だい?フレイ」
「ふふっこれだ」
「‥‥!ルネ・マグリット展‥‥。絵画か」
「フレイの目当ては何だと思う?東山和実」
「‥‥当てたら手伝わなくていいわけ?」
「いいや。だが、ロキとの勝負、貴様にくれてやる。フレイはロキの命には興味がない」
ふんっと笑みを浮かべて少年は広告に目をやった。画展の目玉なのか五作の絵が刷り込まれている。しかし、どれも妙ちくりん‥‥いや、変った絵だ。
「あ、答えは四捨択一♪。制限時間は夕方まで。フレイは研究室に篭るので答えが分かっても開けないように♪。では!」
「チャンスは一回か‥‥。って待て!?なんでボクの勉強部屋に篭る!。開けろフレーイ!!」


 「ロキくーん!事件よ!!」
ばんっとドアがもぎ取れそうな勢いで飛び込んで来ておきながら何事もなかったようにぐっ!と親指を突き立てる繭良。闇野が慌てて確認しに行ったがロキは半眼でそれを見やり、ぱたっと机に伏していきなり寝入る。
「ロキ君!?。はっまさか何処かの過激派が突然闇討ちに!?。ロキくーん!起きてー!!」
「強いて言うならその過激派とやらは君だよまゆら‥‥。あ、ボクなんか頭痛いみたーい。これから熱も出る予定だから後よろしくね!闇野君♪」
「はい!?私ですか!?」
「なぁに?ロキ君。この前私に負けたのまぁだ根に持ってたの?。ふふっ♪やっぱり繭良ちゃんすごすぎる?」
「(むっ)誰が誰に負けたって?」
「ロキ君この前怪盗さんに宝石盗まれちゃったでしょ?。まゆらちゃんは宝石取り返したもん♪」
それがそもそもの疑問なのだが‥‥。大体何故飛び去ったフレイが隣のビルにいた(と自称する)繭良にあのブルーサファイアを奪い返されたのか‥‥。
案外フレイがまゆらにあげたとか‥‥。まーさかね♪(←図星)
「ふっおもしろい。受けてたとうじゃないか。で?どんな事件?」
「そうこなくっちゃ♪。見て見て♪なーんとまゆらちゃんのおうちに怪盗フレイさんから直接予告状が来たの♪」
「‥‥(呆然)闇野君、やっぱり君の出番のようだ。ボクはもう疲れたよ‥‥(遠い目)」
「ロキ様ぁ!まだたった一回じゃないですか!」
「だって疲れるんだよ?フレイの相手。それにあれからまだ魔落とししてないからこの前みたいなピンチになったらそれこそ命がないよ(こそっ)」
「ご心配なく♪ロキ様。今度は私がご一緒します。鳴神さんのようにはいきませんよ♪(こそっ)」
たのもし〜い♪とロキが感動していると繭良が聞いてるの!?と頬を膨らませている。もちろん聞いてるさ!、聞いてますとも!と二人が同時に言うと繭良は機嫌を直して得意げに予告状らしき封筒を左右に振った。
「じゃあ早速県立美術館にGOよ!」
「え?場所分かってんの?」
「だって予告状と一緒に美術展のチラシが入ってたもん♪」
「‥‥なんて親切な奴‥‥いや間抜けと言うのか?」
というわけで美術館に向かう三人。繭良から情報が漏れたのか新山警部以下、部下数十名はガスマスクを付けてずらりと美術館を取り囲んでいる。
「な、何これ‥‥ヤス‥‥らしきもの」
「あ、これね〜。前に催眠ガス仕掛けられたから警部が。名案でしょ?。君達もかぶる?」
「遠慮します‥‥」
「自力で何とかするからいいよ‥‥」
「私借りよっかな♪」
ヤスがふごふご話している時点で嫌だったがじゃあ、とヤスが差し出したマスクを嬉しげに繭良は受け取っている。これで『ミステリー!』なんてやられて日にゃ‥‥と闇野に言ってロキは笑っていたが‥‥。
「きゃー!おもしろーい!ミステリー!!(百年の恋も冷めるような恐怖のミステリーまゆらをご想像ください(爆笑))」
「‥‥(怖っ!!)」
「(怖すぎですまゆらさん‥‥(る〜))」
「まゆらそれ取りなよ‥‥闇野君怯えてるって(いや、ボクも十分だけど‥‥)」
「そお?。う〜ん確かに周り見辛いからやっぱいいや。返します」
「(ほっ)じゃあ早速、怪盗フレイが狙っている物を教えてもらおうか」
おう、と答えて新山警部(らしきもの)がロキ達に手招きして二階の展示室へ上がっていく。後ろからヤス(らしきもの)も付いてきた。マスクをしているので服装でしか判別できない。
「此処にはベルギー政府の協力でルネ・マグネットとか言う‥‥」
「警部、マグリットです‥‥」
「ええい!うるさい!お前が説明しろ!ヤス」
「マスクとってね、ヤス」
ロキの一言にヤスもどきはマスクを取った。中はいきなりフレイだった、りしたら驚きだがどうやら本物のヤスのようだ。まぁ変装などとまどろっこしい事をする相手でもないか。
「えっと、そう、マグリットって画家の絵が五点ほど展示されてるんだ。大堂寺さんの所に送られて来たパンフレットからこの五点のどれかを盗むってのは予測がついてるんだけど」
「マグリットの絵ってピンきりだけど高いんだよにゃ〜。よく県立美術館ごときが借りられたにゃ?」
「この市がブリュッセルと姉妹都市なのよ。その関係でね」
「ふーん。まぁいいけど。その様子だとまだどの絵かは分からないみたいだね。問題の予告状は?」
「これだよ」

「‥‥ねぇ、この後から付けて足したような『&ヘム』ってのすっごい気になるんだけどボク‥‥」
「私もですよ♪ロキ様♪(ふふふふふっ♪)」
「そこじゃないでしょ!気にするのは!。ところでヘムって何?」
「あーところで絵がみたいんだけど」
「絵は第一から第五展示室にばらばらに展示されてるんだ。だからこの広告で見てくれる?」
「‥‥まぁ随分個性的な絵ばっかり集めたな‥‥」
第一展示室 第二展示室 第三展示室
第四展示室 第五展示室
「これと暗号文を照らし合わせるわけだろ?。うーん‥‥」
「『祝福の鐘』ってことはなんだか幸せそうですよね?」
「あ、でも『君』って入ってるから女の人の絵かもしれないですよ♪」
「‥‥、まゆらさん、この絵の中の何処に女性が‥‥」
「あれ?‥‥。まゆらちゃんしっぱーい」
「!そっか‥‥分かったぞ!」
はっとロキが振り返ると巨大な雪だるまが廊下の突き当たり、光取り用の大きな窓の外を飛んでいた。唖然として口をぱくつかせているとそれが窓を突き破って飛び込んで来ておもむろに口を開け、ごーっと雪を吐き出した。
「ぬぁ‥‥ぬぁんだこりゃあ!?」
「ふっ怪盗フレイ見参。そしてこれはフレイの新発明♪『雪やこんこんあられやこんこん君』だ♪」
「ふざけた事を‥‥。雪くらいなんだ!行くぞ!ヤス!他多数」
「はい!警部!」
「ひっとらえろー!」
「むむ、今回は少しやる気のようだな。フレイは嬉しいぞ♪。これでこそ発明した甲斐があったというものだ。行け!『あられやこんこんモード』!!」
ごーっと雪をはいていた雪だるま、もとい『雪やこんこんあられやこんこん君』はあられを吹き始めた。さっと闇野が繭良とロキを庇うがその必要もなかったようだ。全てのあられを新山警部以下十数名が体を張って受け止めているから!(何もまともに当たんなくたっていーんじゃない?(BYロキ))
「大人しくお縄にかかりやがれ!」
「むー、しぶといな、フレイちょっと飽きたのだ。『雪やこんこんあられやこんこん君』ボード用意!」
「?、?‥‥」
「最終手段『雪崩モード』!」
「はぁ!?なにしやが‥‥ごぼっ‥‥」
「警部!。くーっ警部の死は無駄にしません!」
フレイに手をかけようとしていた新山警部が真っ先に大量の雪に飲まれる。しかも、本物の雪崩のごとく動いているらしい(平面なのに‥‥)無駄にしませんといいつつ逃げていたヤスも飲まれた。そして、ボードに乗ったフレイ(しかしスノーボードでなく何を思ったのかサーフボードだ)が雪崩ごとロキ達の方まで迫って来る。
「ふはははは!このまま一気に展示室へ!」
「ロキ様!我々も一時展示室に逃げましょう!」
「ロキ君!盗まれる絵はどの展示室!?」

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