Chapter 4-2 : 終りへの道

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 数時間後、それぞれの部屋に使いが来て、全員が城の会議室へと集められた。縦長のテーブルが広い部屋を左右に分け、窓のある左側にシーザス王が座った。その反対側にはウィザーズが。シーザス王の右にキールが座り、左側には将軍ケネスが立っている。他の官僚は呼ばなかったようだ。そしてウィザーズの右隣にはサフォムが座った。左側にレンヌが座り、レンヌの後ろにバルドが、ウィザーズの後ろにはセライドが控えた。

 ミディクの代表であるラベアはレンヌの左に、ひとつ席を置いて座っていた。アトレはこの場にいない。城に匿ってもらっているセライドの村の者を、ヤージェと一緒に見ているのだ。

 セライドは一度も村の者に会いに行っていない。いいのか、とウィザーズが尋ねると、すべて終わってからお前と二人で会いに行くから良いと言われてしまった。レムとそう約束したから、と。

 すべてが終わってから、か。

すべてを終わらせるためにこの大陸へ戻ってきたのに、ウィザーズの心は正直、どうしても終わりに向かわない。何をすれば終わりなのか。それがここまできて分からなくなっていたのだ。

 ……アゼル……。

この大陸を出たときは、確かに殺してやりたいと思っていた。父を、そしてロジスを殺し、ウィザーズさえも亡き者にしようとした悪魔のような男。だがここにきて何かが変わってしまった。そう思って悩んでいることを、ウィザーズは誰にも打ち明けられないでいた。

 シーザスに到着して、城の窓から故郷の方角を見たとき、雪しか見えない窓に不意に浮かんだのは、ユファーで出会った兄弟のこと。きっとあの二人は今でもあの街の、あの小さな家で二人、変わらぬ生活をしているのだろう。

 椅子が引かれる音で、ウィザーズは飛ばしていた思考を引き戻した。一瞬自分がどこにいるのか、それさえも忘れかけたが小さく首を振って何とか今までの状況を思い出した。

 会議をするつもりで集まっていたのだ。それが、シーザスの軍師である男が立ち上がったことによって始まりを告げている。

 立ち上がった淡い金色の髪の男はキール。ウィザーズ達を迎えてくれた時は、ラベアを気遣う表情や、ウィザーズ達を歓迎するような穏やかな表情を見せてくれていたが、今はそんな柔らかな雰囲気は少しもない。キールはしっかりとウィザーズを見つめ、一通の書状をウィザーズに差し出した。それはサフォムの手を経由して、ウィザーズの前に置かれた。

 まず目に飛び込んできたのは、フォリンの紋章。そして国王の使う印。内容はシーザス国王に向けた親書だ。条件付での宣戦布告状。マジェンダ王妃を助ける手伝いをしたこと、そして今は前国王殺害の犯人であるカトラス王子を匿っていることを非難している。だが森を焼いたグロージェスの件については、何も触れられていなかった。

「最初に、この国の軍師として私はフォリン王との戦いには消極的です。昨晩フォリン王から、カトラス王子に付くというならシーザスへ向けて宣戦布告するとの旨が示されました。一人の人間であれだけの爆発を起こせれば、いくら我が軍が優秀な戦士を集めても無駄でしょう」

 それについては、ウィザーズ達も反論しない。黙ったままだったこちら側に対して、同じ陣営であるシーザスの将軍ケネスが威きりだった。

「何を言う! キール!」

 起立するキールに掴みかからんばかりの将軍を、すぐに国王ヨカナーンが抑える。

「控えろ、ケネス」

 国王にそう言われて、ケネスはぐっと腹に力を入れ自分を抑えた。しかし将軍の気持ちは良く分かる、とバルドは思った。鍛えられた体と精神にのみ強さが宿る。それが、たった一人の人間の知恵だけに屈してしまうと指摘されるのは、軍を統率する者にとってこれ以上ない侮辱の言葉だ。

 しかし軍師であるキールが自軍を貶めるにはわけがある。それも、将軍は分かっているのだろう。だから言葉を続けるキールを睨みつけながらも、怒りを腹に治めていた。

「加えていくらミディク王の書状を携えていようと、カトラス王子を支持して我々が犠牲を払うメリットはありません。言ってしまえば、こちらはもう十分協力をしました。エルフを城に匿ってはいますが、彼らを信用したわけではありません」

 その言葉にそっと苦笑したのは、この場にいる唯一のエルフであるセライドだ。

「はっきり言うな」

 ウィザーズはその言葉にドキリとしたが、別にセライドはキールの言葉に怒ったわけではないようだ。胸の前で腕を組み、先程の一言以外は特に何か言うつもりはないらしい。

「フォリン王からの申し出は特に無理のある話ではありません」

 フォリン国王はシーザスにウィザーズ=カトラスとその仲間の身柄引き渡しを要求している。そうすれば、シーザスに攻め入ることはしない、と。シーザスとは友好国の契りを結びたいとまで言っているが、それはフォリンの配下に入ると同じことではないかとウィザーズは思う。

 それでも良いというのだろうか。国民を犠牲にしてフォリンと戦争をするよりは、フォリン王に屈したほうがましだと。だが国王ヨカナーンの表情は読めない。

「しかし、もう我々に協力してマジェンダ王妃を救ってしまわれた。今更フォリンが友好の協定を結ぶという言葉を信じることができますでしょうか」

 ラベアがそう言った。しかしキールは全く怯まない。背筋を伸ばしたまま、きっぱりとこう答えたのだ。

「疑うこともできません。ここ以外に、尊公方が拠点とできる場所はない。周辺国はすべてフォリン王に屈し、ミディクは遠く離れていますからね」

 それは確かにそうだ、とウィザーズは思ってしまった。遠く離れたミディクからフォリンを直接攻撃することはできない。無論それはフォリン側にとっても同じことだったが、ウィザーズ達にはシーザスが拠点として一番都合の良い場所であることは確かなのだ。

 フォリンの南や東の国はすでにアゼルの力に屈している。彼らを説得してウィザーズ達を受け入れてもらうには、時間がかかりすぎるのだ。

 ウィザーズは唇を噛んだ。シーザスの協力が欲しい。しかし、ウィザーズのせいでシーザスを戦場にすることは、ヨカナーンもキールも望まない。当然だろう。彼らは国民の命を背負っている。軍師のケネスでさえ、軍人としての誇りと国民の命を天秤にかけて、今は黙っているのだ。それが理解できたから、ウィザーズには何も返せなかった。

 しかしウィザーズがシーザスのことを思って口を噤んだその時、サフォムが立ち上がって、この会議で初めて口を開いた。

「残念ながら、距離は問題とならないでしょう。ミディクへ帰っても、我々の勝利は決まっています。今ここで我々とミディクを敵に回しても、後々得をするとは思えませんよ」

 キールの真正面に立っていたサフォムは、ウィザーズが唖然とするほどの自信を持ってそう言った。シーザス側の軍師キールよりも高い背。整った顔立ちが、今は不敵に微笑んでいる。

「その言葉に根拠があるとは思えませんね」

 対するキールもサフォムに微笑んでそう返した。キールに比べれば、サフォムはまだ青二才だ。口先だけの論議でサフォムに負けるとは思っていないだろう。

 口先だけ。その通りだ、とウィザーズは思っていた。サフォムの言うようなこの戦いでの絶対的な勝利の確信が、ウィザーズにはない。セライドも、バルドも、ラベアも同じように思っているに違いない。あと一人。サフォム以外の人間と言えば。そう考えて、ウィザーズは血の気が引いた。

「そうですか? それでは私の言葉の根拠となったものをご紹介いたしましょう。レンヌちゃん」

 思った通りの名前がサフォムの口から出てきて、ウィザーズは思わずテーブルに両手をついて立ち上がっていた。

「サフォム! 駄目だ! それは許さない!」

 ウィザーズが叫ぶと、サフォムはその反応を見越していたかのように冷静に、ゆっくりとウィザーズに向き直った。そして立ち上がったウィザーズの睨むような視線を受け止めてこう言った。

「王子、彼女がここについてきたのはこのためです。そうでなければ、彼女は今頃一人で、アゼルの手からフォリンを取り戻していたはずです」

 その力は十分にあるから。とサフォムは言った。その言葉にウィザーズは胸を突き刺された思いだった。確かに、レンヌにはその力があるのだろう。だか、彼女はそんなこと一言も言わなかったし、ウィザーズは彼女が自分に付いてくる理由を考えもしなかった。

「そ……そうなのか? レンヌ」

 愕然としてウィザーズが尋ねると、左側に座っていたレンヌは黙って立ち上がった。そしてウィザーズには何も答えず、サフォムに向かって言った。

「……サフォム、皆さんに私を紹介して」

 それがレンヌの答えだった。敢えてシーザスを説得する駒として、レンヌはウィザーズ達に付いてこの地に残った。それはすべてを自分が片を付けて、それですむ問題ではないということを理解していたからだろう。それだけの理由で、レンヌはここにいる。

 他に何か理由があるのでは、と勘ぐりたくなるのはウィザーズの期待が大きいだろう。ウィザーズは心の中にわだかまる思いに引き摺り下ろされるようにして椅子に座った。大人しくなったウィザーズを、ラベアが気の毒そうに見ていたが、それには誰も気づかなかった。

「ありがとう。陛下、こちらはレンヌ殿です。一度こちらにミディク王の使者としてお邪魔したことがありますね」

 そうやってヨカナーンに向かってサフォムがレンヌを紹介すると、レンヌは優雅に腰を折った。ヨカナーンはレンヌに目礼で返し、すぐにサフォムに向き直って答えた。

「あぁ。彼女が居なくては、マジェンダ様はお救いできなかっただろう」

 ヨカナーンの言葉に、サフォムは満足げに頬を緩ませた。サフォムはきっと、レンヌの力を認める言葉が欲しかったのだろう。

「彼女がそれを可能にしたのは、彼女が古代神族だからです。空から響いたあの命約をお聞きになりましたか? 彼女は我々に残された、最後の神の一族です」
「古代神族……? しかし、あれは御伽噺だとばかり……」

 ヨカナーンが言うと、そうでしょうとも、という風にサフォムが頷いた。そして次には何処か悪戯っぽく微笑んで、サフォムは言った。

「彼女の力を見た後でも、御伽噺だと思われますか?」
「いや……それは……」

 言葉に詰まったヨカナーンを見て、キールが助太刀しようと口を開きかけた。しかしキールよりも先に口を開いたのはレンヌだ。レンヌは背筋を伸ばしたまま、その紫色の瞳でヨカナーンを真っ直ぐ捕らえて言った。

「アゼルのことは私にお任せ下さい。彼は命約を破るどころか、死体を魔術で操るということまでしました。それは神に対する冒涜行為そのもの。彼は自分の領域を踏み越えたのです。私は命約どおり、彼を裁くでしょう。他にこの戦いで死ぬ者はおりません。あなた方の助力を得られれば」

 決然とした物言いは確かに王のもの。しかしウィザーズは美しいレンヌの白い横顔を見ながら、その姿に微かな違和感を得た。

「……いかがですか? シーザス王」

 ウィザーズがその違和感をはっきりとした形として捕らえる前に、サフォムがそう言った。ウィザーズは慌ててシーザス王の顔を見た。彼は整った顔を崩さず、離れて座っているラベアの方へ首を向けた。

「……ミディクは、レンヌ殿の力を知っていてシーザスに協力を求めるのか? ラベア殿」
「はい。陛下はレンヌ殿のお力をご存知でいらっしゃいます。ただそれだけではなく、カトラス王子は陛下の甥にあたられる方。フォリンへ無事、カトラス王子が帰還なされることを望んでいらっしゃいます」

 ラベアの静かな物言いに、ヨカナーンはしかし初めて顔を歪めた。

「ミディクへの親愛の情を示すためにも、シーザスはカトラス王子に協力した方が良い、ということですか」

 大国の意思に逆らうデメリットは大きい。そして、メリットは得られるかどうかも疑わしい。こうして言葉だけでも大国の意思は大きく、恐ろしい。それがヨカナーンには、いや、小国には苦々しい思いを掻き立てるものなのだ。

「ミディクはシーザス王のお慈悲を願っているというだけのことです。大陸を越えて、今後、今まで以上の友好な関係を保ちたいと陛下はお考えです」

 皮肉じみたヨカナーンの言葉に、ラベアは相変わらず大国の余裕でもって答える。それに更なる追い討ちをかけようとサフォムが強く訴えた。

「勝利が明らかな戦いに尻ごみして、大国ミディクとの関係を悪くなさる理由はありません。勿論、アゼルの腕から取り戻したフォリンは、シーザスと手を取ることを否みません」

 そう言うと、サフォムはぼんやりしているウィザーズの肩を後ろ手で突付いた。ウィザーズは慌ててこくこくと頷いて見せた。だがヨカナーンはそれを見ていなかった。彼が見ていたのは、静かに佇んでいるレンヌ。

「ご決断を、シーザス国王陛下」

 サフォムが畳み掛けると、レンヌはヨカナーンと視線を合わせて小さく首肯した。ヨカナーンはそれを見るとテーブルの上で組まれた自分の手に視線を落とし、しばらく沈黙した。不思議なことに、最初ウィザーズに協力してアゼルと敵対することを疑問視していたキールが、この肝心な場面では口を開かなかった。

 やがてヨカナーンは視線を上げ、ウィザーズに向かってこう返答した。

「……我らは場を貸すだけだ。それを十分な協力と取り、今後フォリンが我が国と親に友好な関係を結ぶことを望む」

 ウィザーズはその言葉を聞いて立ち上がった。

「ご助力、感謝いたします」

 感謝の言葉と共に小さく頭を下げたウィザーズの肩に、後ろからセライドの手が触れた。ウィザーズが振り返ると、セライドと目が合った。二人で旅立った地へ、目的を果たすためにまた戻ってきた。後は、お互い故郷へ帰るために目的を果たすだけだ。それを、視線だけでウィザーズはセライドと確認しあった。


 会議が終わると、ヨカナーンの行動は素早かった。フォリン王へ書状を送ると言って立ち上がり、ラベアがミディク王の代理としてその書状へ署名するためにヨカナーンに付き添った。

 ウィザーズもセライドと共に退出し、レンヌはバルドとに背を押されて静かに部屋を出て行った。ケネスは渋い顔をしながら大股で部屋を後にし、残ったのはサフォムとシーザスの軍師キールだけになった。サフォムは上手くヨカナーンの腰を上げさせたこの結果に満足していたし、それが自分の功績であることを知っていた。故郷で外交官として働いていた頃のことを思い出す。交渉ひとつで多くの金と人が動く。それを知った上で、サフォムの知恵と話術が相手に通用した時の快感。それが今、国をひとつ動かすという大仕事を成し遂げた後、今までにないくらいに大きくなっている。

 サフォムは端正な顔を、とても魅力的な形に歪めて笑った。すっかり陶酔感に浸っていたサフォムだが、この部屋にはまだキールが残っていたのだ。

「……レンヌ殿に、私は貴公と似ているのだといわれましたよ」

 まだ机の反対側に立っているキールが、唐突にそう言ってきたので、サフォムは驚いて目を丸くした。

「私と、貴公が?」

 部屋にはその二人しか残っていなかったので、キールの言う貴公とはサフォムのことであって当然だ。サフォムは自分よりも年上のキールを見つめて、どこか似ているところがあるだろうか、と疑問に思った。顔立ちは似ていない。雰囲気も、自分では似ているとは思えない。だがそう思っていたのは何もサフォムだけではなかった。キールはしげしげと自分を見つめるサフォムに微笑んで言った。

「自分では分かりませんが、しかし貴公と似ているといわれたのは、誇っていいことと思いました。お見事でしたよ。我が王のご性質を、的確に見抜いていらっしゃいました」
「そんな……」

 自分でも上手くやったと思っていたけれど、それを引っ掛けた相手の国の人間から言われてしまうと妙に気まずい。シーザスは軍事力でもって保ってきた国だ。国王であるヨカナーンも、北国の戦士。それを見越して、戦いに怖気づいているのかと挑発する。それがサフォムのとった作戦だ。それに気付いていながら黙っていたということは、キールも最初からサフォムがとる作戦に気付いていたことになる。キールは自分の進言ではなく、あくまでもサフォムの言葉によってヨカナーンを動かしたかったのだ。

「サフォム殿。王のお決めになったことに逆らうつもりはありません。私も、ケネス将軍も。しかし、私にはひとつだけ気になることがあるのです」

 上手くやったという快感はみるみる萎んでいった。目の前にいる男の手で踊らされただけだったのだ。だがキールの穏やかな笑みの前に、サフォムは素直に怒ることができなかった。

「気になること、ですか? 戦いの勝率に疑問が?」

 サフォムが問うと、キールは静かに首を横に振った。

「いいえ、勝率については疑いません。私がお聞きしたいのは、レンヌ殿が言った命約のことです」
「……命約が何か?」

 さらにサフォムが問うと、キールは僅かだがその先を言葉にすることを戸惑った。しかし自ら何かを振り切るように首を小さく振るとこう言ったのだ。

「レンヌ殿はご自分を自然そのものだとおっしゃいましたね。その自然が、故意に人を殺しても良いのでしょうか。たとえ罰を与えるためであったとしても」

 キールの言葉に、サフォムは我が耳を疑った。自分の頭さえ疑った。

「……え?」
「彼女は王です。王自ら禁忌を犯した時は、どう責任を取ると思われますか?」

 いや、だが王は法の上に立つもので。そうサフォムは言いかけた。専制君主が珍しい世界ではない。王は法を超越している。だが、王は神を超えられない。そして、レンヌは神ではない。彼女自身がそう言ったのだ。自分は最後の王だ、と。

「彼女は……死ぬつもりで?」

 そういう意味で、最後の王だと言っていたのだろうか。そうだとすれば、彼女の言葉を側で聴きながら、サフォムは何も理解していなかったことになる。そんな状態で彼女に告白したのだとすれば、サフォムはとんだ道化ではないか。

「分かりません。魔法や魔術については何も知らない私の解釈ですので。ただ……」
「ただ?」

 サフォムが呆然と問うと、キールは微かに苦笑した。

「何となく、決意をした王というのは分かるのです。毅然として、美しく、そして悲しい。レンヌ殿を見ていると、それがよく分かります」
「……なんてことだ……。俺はそれに気づきもしないであんなことを……」

 愕然としたサフォムに対して、キールはそっと目を伏せて言った。

「レンヌ殿は多分、それで良いと思われたのですよ、サフォム殿」

 キールの言う通りだろう。サフォムがレンヌの真意を理解していたか、いなかったかに関わらず、サフォムの告白に対するレンヌの答えは決まっていたのだ。それで良いと思ったのだ。

「だからと言って……。キール殿、私と貴公が似ているなど、とんでもない。貴公は私ほど愚かではない。ご指摘、感謝します!」

 そう言って頭を下げると、キールが引き止める間もなくサフォムは廊下を駆け出していた。

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